Appleが2026年後半から27年前半にかけ、折り畳み型を含む複数の新型iPhoneを投入する計画だと国内外のメディアで報じられている。
初の折り畳み型iPhoneは、停滞感を打ち破る切り札になる可能性がある。しかし、その一方で、スマートフォンの差別化に欠かせないAI(人工知能)分野ではライバルのGoogleに頼ることになった。端末価格の高騰も続くなか、日本で絶対的な支持を集めてきたiPhoneの牙城に変化が起きるのだろうか。
「Siri」の技術面の遅れはたびたび指摘
スマートフォンの新機種開発において、いま最も重要な要素の一つがAIだ。Appleでは独自のAIプラットフォーム「Apple Intelligence」を提供しているものの、特に音声アシスタント「Siri」の技術面の遅れはたびたび指摘されている。
Appleは2026年1月、Googleと複数年契約を結び、Googleの生成AI「Gemini」の技術をApple Intelligenceに取り入れる方針を明らかにした。この発表は業界に衝撃を与えた。
もちろん、iPhoneにGeminiがそのまま搭載されるわけではない。GoogleのAI技術を取り入れたApple向けモデルによって、Siriを含むAI機能を強化するという位置づけだ。
ただ、消費者から見れば、「iPhoneのAIがGoogle頼みになった」と映る可能性は十分にある。AI競争におけるAppleの敗北宣言と見る向きが出ても、不思議ではないだろう。
もっとも、AI開発の遅れが、これまでのiPhone販売に大きな打撃を与えてきたわけではない。それだけAppleのブランド力は強い。
端末の高額化、40万円級の折り畳み型iPhone報道も
国内携帯電話端末市場では、2025年度もAppleが15年連続でメーカー別シェア首位を維持した。iPhoneはデザイン性やブランド性も含め、とりわけ日本においては「信仰」といえるほどの支持を集めている。
少なくともこれまでは、「AIが弱い」というだけで乗り換えを決めるユーザーはあまりいなかったのだろう。
しかし、今後さらにAIの重要度が増していけば、Appleが自主開発を貫かずGoogleの技術を採用したことは、中長期的に見てブランド信仰を揺らがせる要素になり得る。
もう一つ、iPhoneの大きな不安要素となっているのが近年の価格上昇だ。上位モデルは20万円前後の価格帯になり、気軽に買い替えられる商品ではなくなっている。
さらに、先述した折り畳み型iPhoneについては、一部で価格が40万円前後に達する可能性も報じられている。新規性は大きく、Apple初の折り畳み型として注目を集めるのは間違いないが、40万円級のスマホとなれば、購入できる層はかなり限られる。
本来なら、高価格を納得させるには、デザインやブランドだけでなく、画期的な新機能が必要になる。その目玉となるはずのAIでGoogleの技術に頼っている印象が広がれば、「高いiPhoneを選ぶ理由」が薄れてしまう恐れがある。
すでにiPhoneは、日本においても絶対的王者ではないとの指摘もある。
18歳~69歳の男女4万人を対象にしたMMD研究所の2025年調査では、メイン利用しているスマートフォンのOSはiPhoneが48.3%、Androidが51.4%とほぼ拮抗した。前年からiPhoneは1.3ポイント減、Androidは1.3ポイント増となっている。さらにMVNO、いわゆる格安SIMの利用者に限ると、iPhoneが36.1%、Androidが63.5%となった。
新CEO体制でブランド信仰を守れるか
Appleの大きな課題は、「iPhoneならではのAI体験」をどこまで見せられるのかだろう。Googleの力を借りようとも、Siriを含むAI機能が大幅に進化し、革新的な体験ができるようになれば、評価は変わる可能性がある。逆に、Android勢との差が見えにくければ、ブランド信仰は少しずつ崩れていく。
Appleは2026年9月、約15年にわたって同社を率いてきたティム・クック氏から、ハードウェア部門トップのジョン・ターナス氏にCEOが交代することが決まっている。例年9月の新製品発表は、Appleにとって最も重要なイベントの一つだ。その場で新体制のカラーをどう打ち出すかは、今後のブランド価値を左右することになる。
高額化するiPhoneを買い続けるのか。AIで先行するAndroid勢に乗り換えるのか。多くのiPhoneユーザーがその選択に直面するなか、Apple帝国はいよいよ正念場を迎えることになるだろう。