茨城県古河市で起きた「唇縫いつけ事件」について2026年7月11日放送の「情報7DAYS ニュースキャスター」(TBS系)がとりあげ、唇の痛さは特別で、他の場所とは違うことを説明した。
「危険をキャッチする扁桃体が働き続け、判断力が鈍ってくる」
桜井政恵容疑者は、共同生活をしていた被害者の女性の唇を縫いつけ傷害の疑いで逮捕された。女性は近くの店に駆け込み、助けを求めたことからこの古河市の事件が発覚している。唇には針で糸を通した穴が数か所開いていたという。警察の調べに対して被害者は「怖くてすぐには逃げられなかった」と話しているという。
MCの安住紳一郎さんは、容疑者と被害女性の間に主従関係があったとみられることを前提に「一種のマインドコントロールのようなもので『学習性無力感』という言葉も出ているがどういうことか」と聞く。
慶應義塾大学理工学部教授の満倉靖惠さんは「心理学の代表的な概念です。字面からは無力感から心が弱くなっていくような印象を受けるが、そうではなくて、強いコントロール下に置かれると、脳の中の危険をキャッチする扁桃体がずっと働き続け、判断力が鈍ってくる。そうすると逃げるとか助けを求めるとかができなくなってしまう」と話す。
満倉さんが注目するのは、この強い支配下でも「逃げる」ことができた点。「それだけ縫われた唇が痛かったのではないか」と分析する。
「足や腕に刺されるのとは痛さが全く違う」
安住さんが「初めて見る人もいるのではないか」と掲げたのが「ホムンクルスの図」だ。1937年に発表された神経科学で最も有名な図の1つである。身体の部位を「感覚の鋭さ」に応じてデフォルメした絵で、手や唇、舌が大きく描かれている。
満倉さんは「この事件を見た時に、最初にこの図を思い出した。唇の部分がものすごく大きく描かれているが、脳は唇の部分が最も重要だと位置付けている。だから同じ針を刺される部位でも、唇に刺されるのと、足や腕に刺されるのとは痛さが全く違う」と唇に針を刺すのがどれほど痛いのかを解説した。
(ジャーナリスト 佐藤太郎)