東京五輪・パラリンピックの強行に向け、菅義偉政権が新型コロナウイルス対策の決め手として始めたワクチンの職域接種が、わずか1週間で新規受付の中止に追い込まれた。
「あまりに多くの企業から申し込みが殺到して、ワクチン供給が追い付かなくなった」
というのが理由だというが......。
アクセルを踏めるだけ踏んで急ブレーキをかける。菅義偉政権の悪い癖がまたでたようだ。
「尻を叩くだけ叩いてせかされたうえ、ハシゴを外された」
という怒りの声があふれている。
飲食業の人々に打ってもらいたかった
大混乱する職場でのワクチン接種に、各地で怒りの声が起こっている。
関西の中小企業連合が初めて職域接種に取り組んだ大阪府岸和田市の困惑ぶりをNHKニュース(6月29日付)「大阪・岸和田市の商工会議所 会員企業対象にワクチン接種を開始」が、こう伝える。
「大阪府岸和田市の商工会議所が職域接種を6月29日から始めた。日本商工会議所によると、会議所が行う職域接種は、関西では初めて。中小が中心の約1900の会員企業に参加を募ったところ、これまでに約350社から6300人分の申し込みがあった。会議所のビルにある会議室で約400人がワクチンを接種した。同会議所は、希望者全員への接種を8月末までに終えたいとしているが、確保できているワクチンは約5000人分で、不足分の確保のめどは立っていない。同会議所の中井秀樹会頭は『中小零細企業はかなり疲弊している。できるかぎり早く接種を終えて、一日でも早く安心を届けたい』と話していた」
三重県では、コロナに苦しむ飲食店を中心とした中小企業の職域接種に暗雲が立ち込めた。NHKニュース(6月29日付)「三重・中小企業団体 職域接種のワクチン、供給予定は10分の1」がこう伝える。
「中小企業の経営者でつくる『三重県中小企業家同友会』は、会員企業の従業員など合わせて1000人(2000回分)を対象にした職域接種の実施を国に申請した。しかし、現時点でワクチンの供給スケジュールが示されたのは、最初の200回分だけで、必要な量の10分の1にとどまる。同友会では飲食業などで働く人にも職域接種への参加を呼びかける予定だったが、今後、どのように接種を進めていくか不安を抱えている。職域接種の会場となる高齢者施設を経営する浜中俊哉社長は『ワクチンが全員に届かないとなると心苦しい』と話す」
こうした政府の姿勢に怒りをぶつけるのが、山梨県の長崎幸太郎知事だ。読売新聞(6月25日付)「山梨知事『早い者勝ちの状態、戦略ないまま走った』...接種申請の受け付け中止に苦言」が、こう伝える。
「政府が職場接種や自治体が設ける会場の申請受け付けを一時中止すると表明したのに対し、山梨県の長崎幸太郎知事は6月24日の記者会見で『早い者勝ちのような状態になっていて、戦略がないまま走ってしまったことは残念だ』と苦言を呈した。政府は、ワクチン配送量が上限に達したことを理由としている。知事は『ずさんな対応としか言いようがない。スムーズに、かつ小さなところにも目配りした政策を希望する』と述べた」