一時店を閉めたのが響いた人気店...新型コロナで
(4)(有)カツミ(神奈川県川崎市)。
負債約4億7000万円。1988年創業の特定貨物自動車運送業者。主に自動車用、建築用、住宅資材用の各種ガラス関連部品・製品や、液晶関連部品・製品の運送を手がけ、主力得意先からの受注増を背景に、2007年4月期は年収入高約10億3100万円を計上。
しかし、リーマン・ショック(2008年)による受注減少や燃料費上昇分を運送価格に転嫁しきれない状況から、業績は低調に推移。2021年4月期の年収入高は約5億円に半減。燃料高が続くなか資金調達が限界に達した。
(5)(株)マミーブレッド(東京都新宿区)。
負債は現在調査中。1984年創業のベーカリー店経営業者。東京四谷に「マミーブレッド」の屋号で、パン・サンドウィッチ製造のほか、店舗を併設して飲食部門も運営した。主力のパン・デリカテッセン部門では「くるみあんパン」「丸いクリームパン」「クリームシチューパン」が人気を集めたほか、フルーツパーラー向けにパンを販売し、2019年9月期には年売上高約4400万円を計上。
しかし、新型コロナの影響で、一時飲食部門の営業を停止してから、売上がダウン。今年に入って、物価高や円安の影響による原材料費の高騰が重荷となり、閉店に追い込まれた。
帝国データバンクではこうコメントしている。
「8月の全国企業倒産件数は4か月連続で増加となり、長らく続いた減少基調からの『底打ち感』が鮮明となってきた。中小・零細企業の多くは、すでにコロナ禍で経営体力を消耗している。足下の燃料、原材料、電気代、物流コストの高止まりによる収益悪化が、新たな倒産の引き金になりかねない」
そして、
「電気代の上昇や円安の進行も加わり、物価高の影響はむしろこれから本格化する。資金需要が例年高まり、企業倒産が相次ぐ年末にかけて、物価高倒産はさらに増えるおそれがある」
と警告している。
なお、「物価高倒産」の定義を、法的整理(倒産)の理由のうち、原油や燃料、原材料などの「仕入れ価格上昇」や、取引先からの値下げ圧力などで価格転嫁できなかった「値上げ難」などを挙げた企業とした。
(福田和郎)