2019年 12月 6日 (金)

「性暴力」加害者の8割は顔見知り!多くの女性が「だからだれにも話せない」

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   性暴力支援センターには、性暴力に苦しむ被害者たちの声が24時間寄せられる。店の常連客、バイト仲間、会社の同僚、友人、身内など、「顔見知り」からの被害が相談の8割以上だという。年間1500件の相談が寄せられる名古屋第二赤十字病院内にある「性暴力支援センター 日赤なごや なごみ」では、SANE(セイン=性暴力被害者支援看護職)と呼ばれる看護師、医師、支援員、医療ソーシャルワーカーたちが対応している。

   会社の同僚から被害を受けたという女性から電話があった。性暴力による妊娠を心配する相談だった。センター長の片岡笑美子さんは、被害から72時間以内に来るように伝えた。緊急避妊薬を服用させるためだ。女性はすぐにやってきた。

   女性によると、加害者はこの女性の指導係を務める妻子ある男性だった。出張先で同じビジネスホテルに泊まった夜、部屋を訪ねてきた。職場での関係が悪くなることを恐れて部屋に入れると、しばらくして体を触られ、抵抗できずに暴行されたという。

   片岡さんはすぐに女性を院内の産婦人科につなぎ、避妊薬を処方した。さらに、警察の捜査で重要な被害の証拠となる精液を綿棒で採取した。被害女性は警察へ相談することを躊躇していた。「男性を部屋に入れた私も悪い」という気持ちもあったからだ。片岡さんは、そんな女性に「あなたの望まない性的な行為は性暴力です」と伝え、弁護士を紹介した。

   「なごみ」はワンストップ支援センターとして、弁護士や警察と連携し、被害者をサポートしている。4年前の開設以来、支援を受けた被害者や家族は750人を超える。

警察にも被害届受理されず・・・

   顔見知りから性暴力被害を受けた女性は、周囲の対応によってさらに苦しめられることも多い。30代の女性は、被害の直後に親しい友人に相談すると、「なんでその男と一緒にいたのか」などと繰り返し問い詰められ傷つた。なじみの飲食店で酔っ払って帰ろうとすると、送ってくれるはずが「睡眠をとったほうがいい」と勧められ、ラブホテルに入った。友人はそれを非難するように何度も問い詰めたという。

   女性は警察にも相談して、被害の状況を説明した。そのやり取りが録音されている。「部屋に入ってすぐに寝ると、男性が体の上に乗ってきて、無理やり挿入しようとする。抵抗をしたが、無理やり挿入されてしまいました」

   これに対して、警察官は「ラブホテルってセックスするところなんですよ。一緒に行ってくれた、だからOKだろうって考えるのが普通だと思うんです」といった。結局、事件として扱うのは難しいと言い、被害届は受理されなかった。

   この女性に、なごみのカウンセラーで日本福祉大学の長江美代子教授は「どれもこれも被害者の落ち度として挙げられるかもしれないけど、どれひとつレイプをしていいという理由にはなりません」と厳しく批判する。この女性はセンターに紹介された弁護士とあらめて警察に行き、被害届を受理されたという。

望まない性行為は性暴力

   ゲストの写真家のにのみやさをりさんは、24歳の時に信頼している職場の上司から被害にあったという。「ある日突然、無理やり襲われました。人間って信頼関係で結ばれているから、顔見知りに襲われることで、幼い頃から培った人間関係の基本が木っ端みじんに崩されました。当時は傷つけられたってことさえわからず、自分のせいだと思っていました。そうじゃないって、ちゃんと思えるまで20年以上かかりました」

   「望まない性的行為が性暴力」ということが、まだ理解されていないということを示すアンケートがある。クローズアップ現代+がLINE社と協力して、「どういうときに性的な行為への同意があると考えるか」を問うアンケートを実施し、10~50代の男女1046人から回答を得えた。「2人きりで飲酒」は14%、「2人きりで個室に入る」は34%、「露出の多い服装で会う」19%が、「同意がある」と捉えていた。

   支援センターと連携して被害者支援を行っている精神科医で武蔵野大学の小西聖子教授は「被害にあったら、周りの人に相談してほしい」と言い、性暴力被害を打ち明けられたときに周りの人ができる2つのポイントを挙げた。1つは「"なんでそんなことしたの?"と言わない」、もう1つは「一緒に考え、行動する」だ。

「なんで?って言われると、責められているように聞こえるので、この言葉をいったん抑えるだけで違います。一緒に困ってくれる人、一緒にいてくれる人が大切なんです。
全国都道府県にあるワンストップセンターに相談すべきですが、被害者はそれがなかなか難しい。過半数の人が、誰にも言えていない現実があるんです。誰でもいいから、信用できる人に相談してほしい。1人目がダメでも、諦めずにぜひもう一回、別の人に相談してください」

*NHKクローズアップ現代+(2019年7月30日放送「"顔見知り"からの性暴力 ~被害者の苦しみ 知ってますか?~」)

文   バルバス
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