2024年 4月 20日 (土)

まだまだ隠れてる「かんぽ不正」高齢者狙った多額契約やヒボガエ!認知低下の老母に月60万円の保険料

   郵便局による不適正な保険契約の実態解明が進まないなかで、顧客に不利益を生じさせる契約がまだ埋もれたままになっていることが分かってきた。昨年10月(2019年)、息子と一緒に住む母親の自宅をかんぽ生命の社員が訪れた。認知機能が低下気味の母親が加入した2件の保険が、特定事案の「無保険」に該当するとして、契約状況を調べにきたのだ。

   特定事案とは、顧客が新たな保険に切り替える際、郵便局員が意図的に新しい保険の加入時期を遅らせ、新規契約獲得の手当を受けっていたケースだ。加入時期を遅らせたことで、顧客は保険のない期間が生じていた。

   母親が結ばされた契約は、2件以外に最近2年間に加入した保険が7件もあることがわかった。保険料は月額60万円にのぼっており、母親が90歳になるまでの支払い総額は7000万円以上にもなる。顧客に支払い能力を超える多額契約を結ばせ、しかも、社内ルールでは70歳以上の高齢者が契約するときは、家族の同席が必要としているが、息子が母親の契約時に同席したことは一度もなかった。

販売郵便局員が認めないと不正放置

   なぜ、こうした不適切な契約が横行し埋もれたまま見過ごされているのか。現役郵便局員はこう話した。「いま、特定事案が調査されているのは、一番取っ掛かりやいから。それよりも、会社が把握している『あくどい話法』があるんです。その方が特定事案よりも圧倒的に多い。そうした不適正な契約は仕組みが複雑で、顧客は自分が損をしているのに気づいていないでしょう」

   実は、今回の不正が明らかになる以前から、かんぽ生命は不適切な契約の集計してきた。内部資料によると、「無保険」「二重払い」のほかにも、さまざまな不適正契約があった。郵便局員を対象にしたアンケート調査でも、「保険料の支払い能力を超えた多数契約を結ばせる『多額契約』をしたことがある」が1200人(約3%)、「契約者を変えずに被保険者を変えて多数の保険契約を結ばせる『ヒボガエ』を行ったことがある」が4000人(約10%)もいた。

   郵政グループは、かんぽ生命保険、日本郵便、ゆうちょ銀行の3社で成り立っているが、保険の販売はかんぽ生命から委託され、手数料を受け取る形で日本郵便の郵便局員が行ってきた。不適正契約を把握しながらこれまで放置されてきたのは、この構造にも原因がありそうである。販売した社員が認めなければ、不適正ではないという姿勢を取ってきたのだ。これでは実態解明は難しい。

お国がやっていたと安心させるダマシ手口

   不適正契約の問題を2年にわたり取材してきた望月健ディレクターは、「国がやってきた簡易保険のイメージのまま信頼し、内容が分からないまま契約を結ぶ高齢者が多いのです」と指摘する。特別調査委の分析でも、不適正販売の被害者の7割以上が60歳以上の高齢者と見ている。複雑な契約のため損をしていることに気づきにくい高齢者を狙った悪質な手口だ。

   日本郵政ガバナンス検証委員会の委員長を務めた郷原信郎弁護士は次のように指摘する。「問題の背景、構造、個別事案について何が行われたのか、原因がどういうところにあるのか、両面から全体像を明らかにする必要があります。ただ、なかなか究明が進まない。そのため共通項となる原因が見えてこないんです」

   日本郵政の社長に就任した増田寛七氏は「一刻も早く全容を解明して、お客さまの不利益を解消し再発防止策を講じる」と述べた。しかし、郵政グループの解体まで踏み込む必要があるのではないか。

   「クローズアップ+」は2夜にわたってかんぽ不正を検証する。

NHKクローズアップ現代+(2020年1月15日放送「シリーズ 検証・かんぽ問題② 郵政グループ 再生への課題は?」)

文   モンブラン
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