2024年 4月 25日 (木)

安倍政権時代に"権勢"を誇ったNHKの岩田明子記者が干されている。代わりに『ニュースウオッチ9』の"親菅"プロデューサーが権力を握りつつあるという。NHKもよほど暇な会社だな

   9・11である。2001年のこの日、私は那須高原のホテルにいた。風呂から上がり、テレビを付けたとたん、貿易センタービルに飛行機が突っ込むシーンが映し出された。映画の一シーンのような衝撃映像は、その後の2011年の3・11東日本大震災とともに脳裏から離れない。

   朝日新聞(2020年9月11日付)は、世界貿易センタービルを背に、必死で逃げる写真(AP通信配信)に写っていたスティーブン・クーパーさん(当時60歳)が、今年の3月28日、新型コロナによる慢性閉塞性肺疾患で亡くなっていたと報じている。東日本大震災で被災した人の中にも、コロナで亡くなった人はいるだろう。メディアには、そうした人の人生を丁寧に追いかけたルポルタージュを報じてもらいたいものである。

  • 菅義偉官房長官
    菅義偉官房長官
  • 菅義偉官房長官

菅は「消費税は10%より上げる必要がある」といった翌日、慌てて「上げる必要はない」といい直した。これは上げる気だな

   さて、菅義偉政権というのも、日本人にとっては「厄災」になりそうだ。10日、テレビ東京の番組に出演して菅は、「消費税は将来的に10%より上げる必要がある」といった。翌日、まずいと思ったのだろう、会見で、「消費税は今後10年ぐらい上げる必要はない」といい直した。だが、菅の腹は、自分の政権の間に消費税アップを考えていることは間違いあるまい。

   菅の持論は「国の基本は『自助、共助、公助』。自分でできることはまずは自分でやってみる」(文藝春秋2020年10月号)である。貧困も格差も自己責任、政府が対応するのは最後でいいという考え方である。国民に負担を負わせることに躊躇はしない。何しろコロナ対策で、10万円給付、「GoTo」キャンペーンで大盤振る舞いしたのだからと、取り戻すためには消費税も増税もやってくるに違いない。スガノミクスは、安倍と同様、大企業、富裕層を優遇し、貧しい者をさらに貧しくするものになるのではないか。

NHK
NHK

『ニュースウオッチ9』の加藤彰浩は菅が番組に出演した時、スタッフに「厳しい質問はしなくていい」と指示した

   ところで、文春と現代が、安倍政権時代に"権勢"を誇っていたNHKの岩田明子が干されていると報じている。文春によれば、8月28日に「安倍辞任」をスクープしたのも岩田だというが、その彼女がテレビから消えたという。安倍の在職日数記録達成について報じた『ニュース7』『ニュースウオッチ9』でも岩田は不在だったし、安倍晋三首相辞任を特集した『NHKスペシャル』にもタッチしていなかったそうだ。

   それは、今年1月に会長に就任した前田晃伸の"天の声"だといわれているという。前田会長が政治部出身の副会長に「強すぎる現場は困るんだ!」といって、岩田外しを示唆したというのである。強すぎる現場という意味がよくわからないが、安倍も替わったのだから、人心一新ということか。現代は、岩田に替わって"親菅"プロデューサーが権力を握りそうだと報じている。NHK『ニュースウオッチ9』のチーフプロデューサーになった加藤彰浩がその人だそうだ。

   加藤は以前、政治部で清和会などを担当していて、同じ東北出身同士で菅と馬があったという。9月2日、出馬表明した菅が同番組に出演した時は、「厳しい質問はしなくていい」とスタッフたちに指示していたそうだ。幹部職員は、「岩田さんは『反菅派』筆頭格の今井尚哉首相補佐官とも親しい。NHK人事にも強い影響力を持つ菅氏が、加藤さんに目をかけ、岩田さん排除を画策する可能性も出てきた」といっている。NHKというのはよほど暇な会社なのだろう。そんなどうでもいいことに力を使っていないで、国民の知る権利に答えろよ。

「8割おじさん」西浦博京大教授は相変わらずコロナの恐怖を煽っているが、政府は冷静な説得力あるコロナ対策を示すべきだ

   さて、新型コロナウイルスもようやく峠を越えたのではないかと思わせる日々が続いているが、安心してはいけないと檄を飛ばすのは、お馴染み「8割おじさん」こと西浦博京大教授だ。「いまは野球で例えるならば、二回表の新型コロナウイルスの攻撃が終わり、二回裏に入ったところです」と、先はまだまだ遠いと宣うのだ。特に秋以降、インフルエンザが流行すると大変だそうだ。

   「コロナとインフルエンザは発熱や咳、呼吸が苦しいなど初期症状が似ている。そのため、二つが同時に流行したら、どちらの初期症状かわからず、コロナ感染者を追跡することが困難になり、流行を制御するのに大きな影響が出ます」

   おっしゃることはごもっともだが、そこを何とかするのが専門家ではないのか。コロナの恐怖煽り派の筆頭は、西浦教授と、『モーニングショー』(テレビ朝日系)だとすれば、彼らを批判し、「冷静になれ」といい続けているのが新潮である。小池百合子都知事の強権的ないい方に異を唱え、『モーニングショー』のコメンテーターたちの恐怖を煽って視聴率を稼ぐやり方を批判してきた。

   私も同感するところが多いが、今号では、コロナ禍でも、日本の「死者総数」は減っている、心配することはないと報じている。たしかに、8月25日に発表された厚生労働省の「人口動態統計」によれば、今年の6月の死者数は、速報値で昨年同月より1931人減って10万423人である。さらに緊急事態宣言が出されていた5月も、3878人減って10万8380人なのだ。

   京都大学ウイルス・再生医科学研究所の宮沢孝幸教授は、

   「多くの人が命を落とすような病気ではないと、この数字からも明確にわかります。(中略)総合的にみれば、新型コロナウイルスはインフルエンザより怖くないと思います」

   肺炎球菌で亡くなる人が年間約2万人。入浴中に亡くなる人も約2万人いる。それに比べれば、圧倒的に少ないのだから生活を元通りに戻せという新潮の主張は、性急だと思うが、こうした数字を含めて、政府や地方の首長たちが、行きあたりばったりではなく、国民に説得力のあるコロナ対策を今一度、検討、説明すべきだと思う。

文在寅・韓国大統領
文在寅・韓国大統領

菅政権の喫緊の課題は、日米関係よりも日韓との関係修復だ。氾濫する嫌韓情報に惑わされず、早急に動くべきだ

   その新潮の韓国嫌いは筋金入りだが、今週号で報じているような理不尽なことが行われるとすれば、新潮ならずとも、「韓国は何やっているのだ」と思わざるを得ない。韓国では、破防法ならぬ「破墓法」を成立させようとしているというのだ。これは韓国ウオッチャーによると、「戦前に『親日的』だった人物が国立墓地に眠ったままでは、『親日残滓の清算』が終わったことにはならないし、他の霊も安らかに眠れないという理屈なのですが......」。

   この法律の正式名称は「顕忠院親日派破墓法」という。その対象には韓国初代大統領の李承晩も入るというのである。新潮によれば、文在寅大統領がこれの成立に熱心だというのだが、にわかには信じられない。菅政権の喫緊の課題は、日米関係よりも日韓との関係修復であると思う。氾濫する嫌韓情報に惑わされず、早急に動くべきである。

   ところで、ニュースを聞いていて、これほど腹が立ったことはなかった。飛んで行って母親をぶん殴ってやろうと思ったぐらいだ。9月3日の午後12時半過ぎ、香川県高松市内の路上に停めてあった白色のBMWの車内から、6歳と3歳の姉妹が死亡しているのが発見された。その日高松市内は観測史上最高となる37・6度を記録した。それなのに母親の竹内麻理亜(26)は、2人を車に置き去りにして、15時間もの間飲み歩いていたというのだ。

   それも文春によると、3軒目では不倫相手と合流し、男の自宅へ行っていたというのだから、母親失格の前に人間失格である。この母親、高校中退して、とび職をやっていた現在の夫と知り合い結婚。14年には土木建築会社を立ち上げ、業績を伸ばしていたそうだ。着るものが派手になり、白のBMWを乗り回し、不倫に溺れ、子供2人を車に放置して死なせてしまった。亭主の心中いかばかりであろう。

伊勢谷友介
伊勢谷友介

伊勢谷友介の部屋には女性モノの生活用品があったという。スピード逮捕の裏には元恋人の協力があったのか

   俳優であり実業家でもあった伊勢谷友介(44)が、大麻取締法違反容疑で逮捕された。伊勢谷の自宅マンションから、乾燥大麻7.8グラムが発見された。それ以外に全部で20.3グラムもあり、本人以外にも吸っていたのではないかと見られているそうだ。フライデーによると、取り調べには、「弁護士が来てからお話しする」と落ち着いていたという。伊勢谷の部屋には女性モノの生活用品があり、同棲していた形跡があったという。

   また、全国紙社会部記者は、家宅捜索開始から逮捕まで1時間半しかかかっていないから、恋人など伊勢谷に近い人物の協力があったからではないかと見ている。独身である伊勢谷の女性関係は派手だったようだ。フライデーによると、末広涼子、吉川ひなの、長澤まさみなどと浮名を流していたという。女性の中には、彼は超ドSだという者もいて、伊勢谷の表と裏の顔が、これから明るみに出てきそうだ。

片岡愛之助
片岡愛之助

『半沢直樹』が快調な片岡愛之助、モデルとのエロLINEが発覚したが、一線を超えなかったようでよかったね。藤原紀香は怖いぞ

   ドラマ『半沢直樹』が快調だが、その人気のかなりの部分を担っているのが片岡愛之助演じる憎まれ役、黒崎検査官である。オネエ言葉を駆使して、半沢を追い詰める役だが、私生活では愛妻・藤原紀香と仲良くやっているようだ。そう思っていたら、FLASHで、28歳のモデルが、片岡とのエロLINEをやり取りしていたと告白しているのだ。

   それも紀香と結婚したばかりの16年の秋だというのだ。まあ、少し古い話だし、SEXは絡まず、LINEでのやり取りだけだから(彼女はその気があったようだが)、騒ぐほどのことはないだろう。

トランプ米国大統領
トランプ米国大統領

黒人差別問題でトランプ再選が高まっている。この大統領選、韓流ドラマよりも面白いかもしれない

   最後に、11月の大統領選について。バイデン優勢、トランプ敗色濃厚という日本の見方は、どうやら違うようだ。ニューズウイーク日本版で、ビル・パウエルは、新型コロナウイルス蔓延によって、唯一のウリだった好調な経済が打撃を受け、バイデンの支持率はトランプを圧倒していた。警察官による黒人残虐死をきっかけに、警察の友人とみなされたトランプは、ますます支持が落ち込むかと思われた。

   だが差別反対の運動が全国に広がると、抗議行動が略奪や警察署への放火を含む暴力的な騒乱となり、市民の間に不安が広がっていった。トランプと彼寄りのメディアFOXニュースなどは、「法と秩序」を盾に激しい民主党批判を繰り出した。また、この問題について語ろうとしないバイデンは、暴力を容認しているように見え始めたという。その結果、トランプとバイデンの差は、「統計的な誤差の範囲内」(パウエル)にまで縮まってきているそうだ。

   パウエルではないが、コロナのために、投票の多くが郵送になる可能性もあるが、不正な投票や投票に行けなくする方策など、トランプ陣営は様々な手を考えており、トランプ再選の可能性が高まってきているようだ。この大統領選、韓流ドラマよりも面白いかもしれない。(文中敬称略)

元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任。講談社を定年後に市民メディア『オーマイニュース』編集長。現在は『インターネット報道協会』代表理事。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)『現代の“見えざる手”』(人間の科学社新社)などがある。

姉妹サイト

注目情報

PR
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中