2024年 4月 27日 (土)

スティールは「乱用的買収者」 防衛策発動が乱発の恐れ

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   「乱用的買収者であると認めるのが相当である」――。米系投資ファンドのスティール・パートナーズが、ブルドックソースの買収防衛策の発動を差し止めるよう求めた仮処分申請の抗告審で、東京高裁はスティールの抗告を棄却した。東京高裁は判断の根拠の一つとして、スティールを「乱用的買収者」と認定したが、これは多くの関係者の予想を超えたもので、スティールだけでなく、市場関係者の間に衝撃が広がった。

サッポロなど、スティールに対抗して防衛策発動か

   東京高裁はスティールについて、「投資ファンドという組織の性格上、顧客利益優先の受託責任を負い、成功報酬の動機付けに支えられ、それを最優先に行動する法人」とした。そのうえで、「さまざまな策をろうして短中期的に対象会社の株式を転売することで売却益を獲得しようとし、最終的には対象会社の資産処分まで視野に入れて、ひたすら自らの利益のみを追求しようとしている」と主張。ブルドックが企業価値や株主共同の利益を守るために自己防衛手段をとることには理由がある、と結論付けた。

   これに先立つ東京地裁の決定は、ブルドックが防衛策の導入を是としたが、その際、「株主総会の特別決議(3分の2以上の賛成)」を経たことを重視し、スティールが乱用的か否かまでは踏み込まなかった。市場関係者の間では「地裁の判断で十分だったはずで、高裁が乱用的買収者の判断まで踏み込む必要があるのか」と不信が根強い。東京高裁の判断が、日本企業を対象としたM&A(企業の合併・買収)や日本に向けた海外からの投資活動にブレーキをかけるとの懸念だ。

   「スティールは乱用的買収者」とのお墨付きを得たことで、サッポロホールディングスなどスティールが株式を大量保有している企業は、スティールに対抗して防衛策を発動しやすくなる。ブルドックは07年7月11日に国内初の防衛策を発動したが、米国でもほとんど例がない防衛策の発動が国内で相次ぐ可能性を懸念する声は多い。そもそも防衛策は「交渉の道具」との側面が強い、いわば「伝家の宝刀」のはずであり、それを企業がどんどん発動することは防衛策の本質から外れるというわけだ。

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