2024年 4月 26日 (金)

日本人副領事はなぜ逮捕されたのか 外交官なら「不逮捕特権」があるはずなのに

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   スパイ小説でもおなじみの「外交官不逮捕特権」が、ネット上で話題になっている。アメリカ・サンフランシスコにある日本総領事館の副領事が、妻へのDV(家庭内暴力)容疑で米当局から逮捕、起訴されたからだ。

   「日本外交官をDVで起訴」(時事通信)などと報じられている。ツイッターでは、外交官は逮捕されないはずだとして、「日本は米国に抗議するべきだ」といった声も上がっている。「外交官不逮捕特権」とは何なのだろうか。

殺人容疑でも外交官には「不逮捕特権」がある

在アメリカ日本大使館のサイト。米国内各地の総領事館も紹介している。
在アメリカ日本大使館のサイト。米国内各地の総領事館も紹介している。

   日本時間の2012年5月8日、在サンフランシスコ総領事館の長屋嘉明・副領事(32)が、米捜査当局に逮捕され、家庭内暴力(DV)と傷害の罪で起訴されていたことが分かったと、マスコミ各社が報じた。副領事は無罪を主張、現在は保釈されている。

   報道を受け、ツイッターなどでは、外交官の不逮捕特権に触れ、「逮捕されて驚いた」という声が相次いだ。

「日本は米国に抗議しなければなりません」「よほどひどいことをしたのか」

といった反応もあった。

   中には、「外交官特権は、正式業務に関わることをして犯した犯罪にだけ適用される」という「解説」をし、「アメリカに抗議を」と主張している人たちをたしなめる意見もある。実際、共同通信(5月8日配信)などは、「外交官は職務のための行為では任地で訴追されない特権があるが、職務と無関係の事件は特権の対象外」と記事で指摘している。

   一方で、「酒気帯び運転して人をひき殺しても逮捕されず、自国へ逃げた」外交官のニュースを読んだ記憶があると、指摘する人もいる。

   逮捕された副領事が総務省からの出向であることから、「出向組は外交官ではないということなのか」という推測も出た。

   外務省に確認すると、確かに「外交官の不逮捕特権」は、「外交関係に関するウィーン条約」で保護されている。

   条文では、「外交官は、いかなる方法によっても抑留又は拘禁することができない」「刑事裁判権からの免除を享有する」といった文言が並んでいる。一部の民事・行政裁判権を除けば、ほぼ全面的に裁判から免除されている形だ。仮に殺人容疑であっても、不逮捕特権は認められるそうだ。

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