2024年 4月 25日 (木)

港区の「億ション」、早々に完売 法改正で「建て替え」加速へ

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   東京・港区の老朽化したマンションが地上24階建てのタワー型マンションに生まれ変わり、建て替えマンションとして初めての「億ション」となった。

   前身の物件は1964年に完成した「シャトー三田」。地上8階建てで、98戸の住宅に事務所・店舗区画を併設。24時間有人管理が導入され、茶室やゴルフ練習場を備えるなど分譲当時は高級マンションとして話題を集めた。

  • 東京都心には、建て替え「億ション」が登場(写真はイメージ)
    東京都心には、建て替え「億ション」が登場(写真はイメージ)
  • 東京都心には、建て替え「億ション」が登場(写真はイメージ)

最高額は2億7000万

   「億ション」に変身した「シャトー三田」は、港区有数のヴィンテージマンションとして知られていた。JR山手線の田町駅まで徒歩10分。都営大江戸線の赤羽橋駅や、東京メトロ南北線が交わる麻布十番駅、都営三田線の芝公園駅や三田駅が徒歩圏内と交通の便もよく、周囲にはイタリア大使館やオーストラリア大使館、慶応義塾大学など歴史ある建造物が建ち並び、東京タワーが望める好立地にある。

   とはいえ、築50年に近づくにつれ、水漏れや電気系統の不具合が表れてきたことや、住民のあいだでは大地震への不安感が募り、2004年に建て替えの検討がはじまり、10年に決定。野村不動産と三井不動産レジデンシャルが共同で参画するマンション建替組合の設立認可が東京都知事から下りたのが11年だった。

   新たに、都心の緑を眼下に見下ろすタワーレジデンス、「ザ・レジデンス三田」として売り出されたのが2013年8月。総戸数は252で、このうち分譲戸数が175を占めた。都心の好立地に加えて、エントランスには豪華なラウンジを設けるなど共有部を充実させたこともあって、建て替えマンションとしては初めて、平均分譲単価が1億円を超える「億ション」となった。

   野村不動産によると、最高額の2億7000万円の物件を含め、「早々に完売しました」と話す。竣工は14年12月。引き渡しも終わっている。

   同社は14年に世田谷区の桜上水団地を建て替えた「桜上水ガーデンズ」を売り出し、15年には杉並区の阿佐ヶ谷住宅を建て替えた「プラウドシティ阿佐ヶ谷」を売り出す。このほかにも「複数の物件を推進中」というから、今後も建て替え物件は増えそうだ。

改正「円滑化法」の影響

   こうした老朽化したマンションの建て替えを後押ししたのが、2002年に施行された「マンション建て替えの円滑化等に関する法律」(円滑化法)だ。しかし、今後ますますマンションの建て替えは進むとみられる。

   背景には、2014年12月に施行されたばかりの「マンションの建て替えの円滑化等に関する法律の一部を改正する法律」(改正マンション建て替え円滑化法)がある。

   耐震性の不足や老朽化が進んだマンションを売却する場合、これまでの円滑法では所有者全員の同意を必要としたが、改正法では区分所有者の5分の4が同意すれば建物の解体と跡地の売却が可能になる。所有者が組合をつくり、その組合が土地や建物をまとめて不動産会社などに売却できる。つまり、マンションを解体して、敷地を売却しやすくしたわけだ。

   不動産経済研究所は、「建て替えマンションはなかなか難しい案件ですが、デベロッパーが積極的に取り組むことで増えてくるでしょう」と話す。

   東京都心では、湾岸エリアなどの再開発に絡んだ新築マンションはなお少なくないが、開発が進んだ山手線内の都心部の好立地物件は、かなり供給が限られている。半面、築年数の経っている、建て替えが必要なマンションも少なからずある。

   改正法によって老朽化した都心にある好立地のマンションの売却が進めば、今後「ザ・レジデンス三田」(旧シャトー三田)のような、「億ション」が出てくる可能性は「まだ、あります」(不動産経済研究所)という。

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