2024年 4月 26日 (金)

池脇千鶴がみせた「深い絶望感」心に焼きつく(ゴンゾウ)

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   「ゴンゾウ」という耳慣れない言葉は、能力はあるのに仕事をしない警官のことをさす警察用語らしい。本当にいるんだったら、さすが官庁、こちとら民間は、なけなしの能力をふりしぼって日夜働いてるのに、いいご身分だね、とツッコミたくなる。

   まあ、そこは抑えて見ていると、かなりおもしろいドラマだと言ってよい。スタートでは、主演・内野聖陽の演技力に頼ったノホホン系かと思ったら、あれよあれよという間にシリアスな展開になっていった。

   備品室ではゴンゾウの黒木(内野聖陽)と、事務のルミ子(吉本菜穂子)や精神科医の理沙(大塚寧々)のまったりした会話。しかし、外では清純なバイオリニスト・もなみ(前田亜季)がいきなり射殺される。しかも新人刑事・鶴(本仮屋ユイカ)と一緒に駅に向かう途中。この弛緩と緊迫感の対比がうまい。

   鶴も銃撃を受けるが一命をとりとめる。守れなかった無念と、自分が狙われたのに、もなみが身代わりになって死んだのではないかと、鶴は激しく自分を責める。しかし、やがて、最初からもなみが狙われたことが分かり……。

   このバイオリニスト殺人の謎が縦糸となり、黒木と元部下で今は上司の佐久間(筒井道隆)との確執が横糸となって進む。謎解きと捜査陣の人間模様は目が離せない。筒井はいつもの「穏やかで善い人」という役柄とは違って、暗く冷徹な黒木の敵役。額には八の字、まったく笑顔を見せない。

   第7話では、なぜ黒木がゴンゾウの備品係になったか、その哀しい理由が明かされた。3年前、黒木が愛し、そして死んだ杏子(池脇千鶴)の「刑事は危険だからイヤ、穏やかに暮らしたい」という願いがあったのだ。杏子は幼い頃、一家心中から黒木が1人だけ救い出した女の子だった。売春婦となった杏子が、街頭で引いた客に殴られているところを黒木が助けて再会する。

   このシーンが心に残った。助けられた杏子は、「お礼をするわ」と言って、無表情にスカートの下からパンツを抜き取って投げ捨てたのだ。ふつうはそれらしい仕草までだろうと思うが、ここまでやる演出はあなどれない。杏子の深い絶望感とそれまでの不幸な半生が一目で分かる。

(カモノ・ハシ)

*「ゴンゾウ」 テレビ朝日系 水曜夜9時~

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