「リストラ」放火容疑者が奪った「倒産からの復活」人生
<テレビウォッチ>大阪・難波の個室ビデオ店の放火で死亡した15人のうち、きのう(10月2日)さらに8人の身元が判明した。1人は介護ヘルパーの舞野学さん(49)だった。
2年前に経営していた会社が倒産して、介護ヘルパーになった。仕事を続けながら、介護福祉士の国家資格をとろうとしていた。「体力があったからね。かかえあげたり風呂にいれたりは彼にしかできない仕事だった」と同僚がいう。第2の人生を開く足場が、個室ビデオ店だった。
同僚によると「職場にも近くて安い」と、ここを寝泊まりの場にしていたという。「受付の人と親しくなって、広めの部屋を確保してくれると喜んでいた」
当日の朝、仕事に現れないのでいぶかっていたところへ、警察から連絡があって、事件に巻き込まれたことを知った。同夜の通夜の席で、友人らは「第2の人生を介護にかけるといっていた」「まわりに勇気を与えてくれる人だった」と惜しんだ。
放火した小川和弘容疑者(46)の挫折人生も明らかになった。
15年前、門真市の一戸建てに母親と妻、一男一女の幸せな生活。優しい父親だったと、近所の人はいう。その後、離婚して妻と娘が去り、7年前に大手電器メーカーをリストラされて、人が変わった。近所の子どもたちのキャッチボールに怒ったり、無類のギャンブル好きで、競馬で1000万当てたとかいう話を聞いた人もいる。
その後借金返済に家を売り払い、いまの東大阪市のワンルームマンション住まいになったあたりから奇行が目立ってきた。
パンツひとつで徘徊したりよその家に上がり込んだり、夜部屋へこいと誘ったり。定職もなく、今年に入ってからは生活保護を受けていた。事件のあと、消費者金融から多額の借金があることもわかった。
逮捕(放火、殺人容疑)後、「生きてるのが嫌になった」といっている。また、「自殺しようと思ったが、息苦しくなって逃げた」ともいっており、借金を苦にしての場当たり的な犯行ともとれる。しかし、彼と一緒に入店した友人は、大やけどを負って重態。まだ、事情も聞けないのだという。
みのもんたは「犠牲になった人はたまんないですよね」
杉尾秀哉は、「どんな理由があろうと、人を巻き込んではいけない。それとやっぱり店の問題がある」
みのは、「従業員は自分たちだけ外へ逃げて、火事だのひとことも発しなかったんですよね。これから、年末にかけて利用する人も多いかもしれない。気をつけてください」
あらためて、この個室のもつ現代的なわびしさを感じてしまう。