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「魍魎の匣」
「京極原作」読んでても楽しめる! 原田眞人監督「復活」の娯楽作

【 365日映画コラム 】
07/12/12 コメント一覧(2)
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   前作「姑獲鳥(うぶめ)の夏」がおどろおどろしいだけで詰まらなかったので、期待はしていなかった。だが原田眞人監督の「魍魎の匣」(もうりょうのはこ)は斬新なカットの映像と、原作を換骨奪胎した脚本で予想以上に楽しませてくれる。私は、前作の監督、実相寺昭雄にも今回の原田眞人にも、かつてCMの演出をしてもらった。実相寺は実験的な手法を駆使する。航空会社のCMで、飛翔するジャンボ機をポジをネガに転換するソラジュレーションで描いて、宣伝課長の「お化けや!」の一声でオクラになった。原田は当時LAで映画評論をやっていたが、大林宣彦が突然降板したので急遽カーク・ダグラス主演のコーヒーのCM演出を頼んだ。するといきなり、カメラマンにはアカデミー賞受賞のV・ジグモンドを使いたいと言われ慌てた。手法は映画評論家だけあって色んな映画シーンのパクリだったが良く纏(まとま)っておりクライアントからお褒めの言葉を頂いた。

(C)2007「魍魎の匣」製作委員会
(C)2007「魍魎の匣」製作委員会

   京極夏彦の原作で堤真一が主役京極堂に扮する2作目だから、同じ視点で比較が出来るが、私のCM体験がそのままこの2作の評価になる。先に述べたように原田の「魍魎の匣」は立派な娯楽作で、2時間を遥かに超す長尺にも拘らず厭きさせない。「自由戀愛」はともかく「伝染歌」のくだらなさで原田は終わりかと思っていたが見事な復活だ。

   戦後間もない東京で美少女連続殺人事件が起こる。元女優の陽子(黒木瞳)の娘も事件に巻き込まれ、探偵の榎木津(阿部寛)が行方を追う。作家の関口(椎名桔平)と京極堂の妹で記者の敦子(田中麗奈)は、災いを函に閉じ込める新興宗教のインチキを探っている。木場刑事(宮迫博之)は巨大な函型建造物の謎を追っている。それぞれが友人で、博覧強記の京極堂、中禅寺(堤真一)の元へ知恵を借りるため集まって来る。

   3つの事件が函に絡んで一つになるのだが、例によっておどろおどろしい展開で観客を引っ張る。中国でのオープンセットがよく出来ていて、人海戦術のロケとで終戦直後の東京が実現されている。時代を帯びた建物、軍の人体実験の研究所や陽子の邸宅などはシンプルなコンクリート打ちっ放しの巨大空間を巧みに使う。自動車も時代考証されたもの。唯、巨大函型建造物の倒壊はいかにもミニチュアですと明らかに分かるのが残念だ。

   主要登場人物は上記のように黒木瞳が脇の序列に並ぶほど豪華キャストだが、他にも柄本明、清水美砂、篠原涼子、笹野高史などが顔を揃える。注目は脚本家の宮藤官九郎。主要な役を演じている。正月映画として公開されるこの作品、TV局製作映画氾濫する時期に映画屋の映画として波紋を起こしてくれと念じる。

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