2020年 1月 19日 (日)

バイオ産業

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現状

組織培養の分野への参入が相次ぐ

  バイオ技術は一般に、次の4分野に分類される。
  発酵、組織培養、細胞融合、遺伝子組み換えの4つだ。特に発酵技術は日本の伝統食である味噌や納豆、酒に代表される微生物を利用した食品技術であり、歴史も長く、日本のお家芸といえる。 しかし最近では、こうした従来からの食品や酒類業界の企業に加えて、化学、医薬品、鉄鋼、ガス、タバコなど異業種からの企業のバイオ参入が相次いでいる。大半は、技術的に製品化が比較的容易な組織培養の分野である。

厚生労働省などがある中央合同庁舎第5号館
厚生労働省などがある中央合同庁舎第5号館

  参入の狙いは、組織培養を活用した花、果物、野菜の品種改良から始まって、最終的には日本人の主食である米を中心とした穀物遺伝資源の研究を行って、市場規模の大きいF1種子(ハイブリッド種子)の販売など、ビジネスチャンスを追及することにある。

遺伝子治療で最も有望と見られているのは「がん」

   医療・医薬品でもバイオ技術の実用化が着々と進められている。
  その主要な実用分野が、遺伝子治療、再生医療、抗体医療である。
  遺伝子治療とは、遺伝子の欠陥を修復・修正する「治療の設計図」が書き込まれた遺伝子を患者の体内に導入して治療を実行させるというやり方だ。薬品投与や放射線など従来の治療法に比べて、病気を根本から治療するため、関係者からは大きな期待が寄せられている。
遺伝子治療の商業化で最も有望と目されているのが「がん」治療である。 この分野で、最も先行しているのが、宝ホールディングスの子会社であるタカラバイオ。レトロネクチンを用いた遺伝子治療薬について、イタリアのモルメド社と提携している。モルメド社はすでにヨーロッパで遺伝子治療の商業化に向けた臨床試験を展開中だ。国内では、タカラバイオ自身がまもなく臨床試験を開始する。

血管を新しく作る遺伝子の開発は最終段階

  「閉塞性動脈硬化症」に対して行われる、血管新生の遺伝子治療も実用化が早いと予想される分野だ。血流が悪くなった血管に代わり、あらたな血管を作る治療法だ。「閉鎖性動脈硬化症」とは、糖尿病の合併症の一つで、主に足の先の血管(末梢血管)で血管が細くなり、やがて血液が流れなくなってしまう病気である。
  血管を新しく作る遺伝子はVEGF、FGF、HGFなど多数あるが、世界的に最も積極的に開発が試みられているのが、VEGFである。日本企業ではタカラバイオが韓国で進める臨床開発がまもなく最終段階に入る。
 アンジェス・エムジー(日本の上場会社)が開発するHGF 遺伝子治療薬は現在、臨床試験中である。HGFは日本で発見され、アンジェスは基本特許を多数抑えている。HGFが世界中で承認されることになれば、年商で1000億円を超える大型新薬になる。

高齢者の身体機能回復についても再生医療に期待集まる

  再生医療とは、疾患や事故、先天異常などで失った臓器や組織を、ES細胞(胚性幹細胞)を活用して再生しようという技術だ。再生医療へのニーズは、病気治療だけではなく、高齢者の身体機能の回復についても応用が期待されている。
 この分野での第一人者は、協和発酵である。マウスから中胚葉系の幹細胞を分離・培養する技術を確立し、特許を出願、現在公開されている。マウスはヒトとの関連性が高く、ヒトを対象とした創薬に結びつく可能性が高い。
  皮膚再生でも、実用化が目前に迫っている。米国ではすでに再生皮膚が糖尿病患者の難治性潰瘍治療用に製品化されているが、日本の国内企業では、患者から採取した皮膚を移植する方向で研究を進めている。国内で先頭を走るのが、ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC、未上場会社)とビーシーエスというベンチャー企業だ。

次世代バイオ医薬の本命は「抗体医薬」

  皮膚以外では、オリンパスが骨の再生、J-TECが軟骨再生などで実用化をめざしている。日立メディコは歯胚再生、テルモは虚血性心疾患患者向けの心筋細胞再生で実用化を目指している。 次世代のバイオ医薬品として呼び声の高いのが抗体医療だ
遺伝子組み換え技術により生理活性たんぱく質を医薬品化するバイオ医薬品は、80年代の糖尿病治療薬「インスリン」を皮切りに、「ヒト成長ホルモン」「インターフェロン」「エリスロポエチン」などと、画期的な新薬を次々と生み出してきた。そして次世代のバイオ医薬として本命視されているのが「抗体医薬」だ。
  ヒトの身体の免疫システムにおいて中心的な役割を担うたんぱく質が抗体と呼ばれる。その抗体は抗原(ウイルスや細菌、毒素などの異物)の特定部位と結合して、抗原を不活性化させ、無害化する。この抗体を人工的に作り出すことができれば、免疫力を高めたり、特定の細胞を集中攻撃する薬に応用できる。がん、移植免疫、感染症などの新しい薬として期待されている。
 日本国内では、中外製薬キリンビール協和発酵が“抗体御三家"と言われている。協和発酵の場合は、悪性黒色腫を適応対象とした「KW-2871」が米国で臨床試験に入っている。

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