2024年 4月 20日 (土)

商業

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歴史

総合商社は、日本だけに見られる特異な企業形態だ

   商社には幅広い分野の商品を手がける総合商社と、特定の分野に限定して、その分野の商品だけを取り扱う専門商社とに大別される。
   総合商社には、旧・財閥グループの商事部門が分離・独立してできた会社や、最初は繊維商社などの専門商社としてスタートし、やがて次第に取り扱い分野が拡大して、総合商社へと発展していった会社が含まれる。前者には三菱商事、三井物産、住友商事などであり、後者は伊藤忠商事、丸紅などだ。
   総合商社は、日本だけに見られる特異な企業形態だ。総合商社は、世界中から仕入れた原料や技術を鉄鋼や化学などの製造会社に提供し、その提供先が製造した製品を、今度は国内や海外の市場で売りさばく役割を担ってきた。日本経済の高成長の牽引役だった。
   世界の隅々まで営業拠点や情報拠点を持ち、巨額の資金、膨大な情報を武器に、利益が期待できそうなビジネスであれば何でも手がけてきた。石油や希少資源などの資源開発からバイオ、IT など、幅広い分野に進出する活力を持っている。

日本の輸出貿易急増国 2003年 日本の輸入貿易急増国 2003年

「ラーメンからミサイルまで」の総花経営が足を引っ張る

   総合商社の機能としては、次のようなものが挙げられる。
   貿易などの取引機能、保管などの在庫機能、情報収集などの情報機能、資金提供などの金融機能、マーケティング機能、オーガナイザー機能などだ。このため、メーカーや小売業者との関係においても、単に商品を右から左へ流す卸売り業者としての役割だけでなく、ビジネスに関連する情報を提供したり、いろんなビジネス上の提案を行ったり、連帯保証人になったりして、様々な面でビジネス・パートナーとしての役割を果たしている。

JR東京駅北側に建設された多目的複合商業施設の「丸の内オアゾ」 (エスペラント語でオアシスの意味)
JR東京駅北側に建設された多目的複合商業施設の「丸の内オアゾ」 (エスペラント語でオアシスの意味)

   日本経済が高成長を実現している時代は、「ラーメンからミサイルまで」を取り扱う総花経営が総合商社の強みと言われた。1990年代のデフレ経済下では、その強みであった総花経営が逆に足を引っ張る皮肉な結果となってしまった。総合商社は、これまで述べてきたように取り扱い品目が膨大な数に上るため、銀行からの借り入れを中心に巨額の有利子負債を抱えることになり、それがデフレ不況の中で大きな負担となってきたのだ。

インターネットで取引など「商社離れ」が広がる

   また小売業の中には商社を経由せず、メーカーから直接製品を仕入れるケースや、企業同士が商社を経由せずにインターネットで取引するケースが広がりを見せつつある。商社の役割が急速に低下し、商社はもはや必要ではない、という意見も聞かれるようになった。
   そこで総合商社は「選択と集中」を合言葉に、事業を再構築せざるを得なくなった。
   総合商社といえば、90年代半ばまでは三菱商事、三井物産、住友商事、伊藤忠商事、丸紅、日商岩井、トーメン、ニチメン、兼松の9社を指していた。
   ところが、このうち兼松は不採算部門を切り離し、半導体などを専門に取り扱う専門商社として再出発を図ることになった。日商岩井とニチメンは03年4月にニチメン・日商岩井ホールディングス(現・双日ホールディングス)を設立して事業統合を行い、現在はメインバンクのUFJ銀行の支援で再建中だ。トーメンはメインバンクのUFJから2度の債務免除を受けた後、トヨタグループから追加支援を受けて、将来はトヨタグループの豊田通商との統合を目指している。

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