2024年 5月 4日 (土)

世界的な漁獲規制に対応 養殖マグロに新規参入続々

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   世界的なマグロの漁獲規制を受け、マグロの養殖に参入する企業が相次いでいる。すでに参入している大手企業も事業規模を大幅に拡大している。ただ、初期投資に莫大な予算がかかるほか、マグロの品質を高めるには、かなりのノウハウが必要で、「リスクが高い事業」といった見方も根強い。

マルハニチロは倍増する計画

漁獲規制でマグロが食卓から遠のく一方だ
漁獲規制でマグロが食卓から遠のく一方だ

   水産大手のマルハニチロホールディングス(HD)は、2009年春をめどに、和歌山県串本町に養殖場を新設し、高級マグロであるクロマグロの2011年度漁獲量を07年度に比べて倍増させる。日本水産もすでに、マグロ養殖用のいけすを18基まで増設し、年間生産量を2007年度の300トンから2008年度には700トン、2009年度には1200~1300トンに引き上げる計画を持っている。

   新規参入も相次ぐ。日本ハム子会社のマリンフーズは、08年7月に地元企業などとの共同出資で愛媛県宇和島市にマグロ養殖会社を設立。双日、三菱商事、極洋などもマグロ養殖事業に参入する。

   背景には、世界的なマグロの漁獲規制で、供給量が落ち込み、マグロ養殖が新たな「ビジネスチャンス」と見込まれているからだ。欧米やアジア諸国でマグロ需要が高まり、08年11月下旬には、水産資源を管理する機関「大西洋まぐろ類保存国際委員会」(ICCAT)が、09年から漁獲枠を2割削減する決定を下している。

   20年にわたりマグロ養殖に取り組んでいるマルハニチロHDは、漁獲量を07年の1600トンから、11年には3200トンに倍増させる計画だ。マグロ養殖事業の拡大は「将来的に漁獲量が減っていくなかで、安定的に供給できるメリットがある」ためだという。また、品質の面でも「他社と差別化できる」と意気込む。

初期投資に億単位かかり、リスク大きい

   ただ、マグロ養殖には大きなリスクも伴う。ある水産企業社員は、

「市場拡大の余地があると見込んで新規参入も多いが、マグロ養殖にはノウハウが必要。初期投資に億単位かかり、マグロを育てるため、さらに出荷まで2~3年かかる。中小の企業にはとてもできない」

と話す。また、マグロ養殖事業を拡大した日本水産の広報IR室では、

「養殖事業は、そもそも大変リスクの高い事業であり、ある一定の規模を確保すると同時に、技術的課題をクリアにしないと収益が上がる構造にならない」

とも指摘する。実際、同社の京都府・伊根でのまぐろ蓄養事業は台風の影響で08年の実績は前年の10分の1にまで縮小する見込み。マグロは食卓から遠のく一方だが、養殖が事態の救世主となるのはまだまだ先のことになりそうだ。

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