「帰宅実現まで20年」にショック 減らない放射線量が大きな壁

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   福島復興再生協議会が福島市で開かれた8月27日、政府からまた二つの「原発ショック」がもたらされた。菅首相は佐藤知事に、放射線に汚染された土壌やがれきの中間貯蔵施設を福島県内につくる考えを示した。協議会の席では、避難住民の帰宅に20年以上かかる可能性があるとの見方が示された。

   退任直前になってやっと菅政権が、厳しい現実を地元に伝えたという見方もできる。佐藤雄平・福島県知事は「突然の話。非常に困惑している」と応じた。馬場有・浪江町長は「最終処分施設になってしまいかねない。絶対認められない」と反発した。

セシウム137は30年でやっと半分に

   なかなか減らない放射線量が事態をさらに深刻化させている。これから10年単位で問題になるのが、放射性のセシウム137の低減、除染だ。セシウム137は半減期が30年。放っておくと、線量が半分になるのに30年かかる。その間に浴びた放射線が被曝線量として蓄積されていく。

   政府は、放射線量が帰宅の目安となる年20ミリシーベルト以下になるまでの期間を試算した。その結果、現在の推定線量が100ミリシーベルトの場所では約10年となった。さらに年間の被曝線量が200ミリシーベルトと推定される場所では、20年以上かかる可能性があるとの試算結果が27日の協議会で示された。

   福島市など、原発から比較的離れた地域でも、事情は変わらない。福島大の放射線計測チームは、福島市(原発から北西約65キロ)、南相馬市(北約25キロ)、飯舘村(北西約40キロ)などで放射線量の推移を観測している。当初は、放射性ヨウ素131(半減期8日)やセシウム134(半減期2年)による放射線が減っていく効果が大きく、福島市の場合、3月15日に毎時24.0マイクロシーベルトだった線量は5月上旬には1.5マイクロにまで減った。しかし、その後はセシウム137の占める割合が大きくなるにつれて減少幅は極端に小さくなり、8月になっても1.1マイクロ前後にとどまっている。

   福島市内で毎時1マイクロシーベルトが1年間続いた場合、年間の平均積算量は5ミリシーベルト程度。国際放射線防護委員会が、通常時の一般人の年間限度としている1ミリシーベルトを超えることになる。

   専門家は徹底的な除染を行わない限り、線量は2年後でも現在の6割程度にしか落ちないと推測している。

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