2024年 4月 19日 (金)

日産がリーフを異例の大幅値下げ 不振の電気自動車、日米でテコ入れ図る

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   日産自動車が電気自動車(EV)「リーフ」を2013年4月から約28万円値下げすると発表した。日産は12年11月、1回の充電で走行できる航続距離を14%改善して228キロとするマイナーチェンジを行った際、廉価版モデルを約42万円値下げしたばかり。

   今回はこのマイナーチェンジモデルの全グレードを一律約28万円値下げするという異例の措置で、日産は不調なリーフ販売のテコ入れを図ることになった。

2016年までにEVを世界で累計150万台販売するのが目標

   日産はEVをエコカーの本命と位置づけ、2010年12月の発売以来、リーフで世界市場をリードする戦略を描いてきた。日産は中期経営計画で2016年までに仏ルノーと合わせ、EVを世界で累計150万台販売する目標を掲げている。しかし、12年末までで約4万9000台(うち日本国内は約2万1000代)と、はるかに目標を下回っている。

   カルロス・ゴーン社長は米デトロイトで開かれた北米国際自動車ショーで、リーフの世界販売について「大いに失望している」と記者団に漏らした。ゴーン社長は「でも、問題点はわかっており、対策を進める」とも語った。問題点とはリーフの「航続距離」の短さと充電インフラの未整備、そして車両価格の高さだ。

   日産はEVの世界販売150万台について、「チャレンジングな数字だが、引き続き目指していきたい」としており、米国ではリーフを現地生産するとともに、車両価格3万ドル(約260万円)を切る廉価モデルを投入する。

トヨタの「プリウス」を下回る価格設定

   日本国内では現在、日産リーフの最廉価モデルSはメーカー希望小売価格が327万6000円で、2012年度の政府の補助金最大78万円を加味すると、249万6000円となる。ここからさらに今回の約28万円の値下げで実質的には221万6000円となる。これはエコカーとして最大のライバルとなるトヨタのハイブリットカー「プリウス」(Sグレードで232万円)を下回る価格設定となる。

   日産は1カ月に1000キロ走行する場合、リーフの電気代は1970円。標準的なガソリン車(燃費はリッター当たり14キロ、ガソリン1リットル148円)の1万571円に比べてランニングコストは格段に安く、「月々で8601円、年間で10万3212円も燃料代の節約になる」とアピールしている。

「パワフルで滑らかな加速はジェット機に乗っているかのよう」

   さらに「大排気量車のようなパワフルで滑らかな加速はジェット機に乗っているかのよう」「エンジンはなくモーターなので、音や振動が少なく、車内は驚くほど静か。あらゆる速度域で高級車のような静粛性を実現した」と、リーフの優位性を説いている。燃費の良さとモーターならではのトルクの太さ、加速感はEVの独壇場と言える。

   しかし、航続距離が伸びたとはいえ、一般的な利用でリーフの行動半径に不安が残るのは否めない。フル充電のまま東京を出発して、箱根(神奈川県)の山坂道を登って帰京するという一般的なドライブを、途中の充電なしにこなすのは今なお困難だ。世界の自動車メーカーの量産EVとして、最も実績があるのは、もちろん日産リーフだ。国内では三菱自動車が軽のEV「i-MiEV(アイ・ミーブ)」を市販しているが、世界戦略でリーフには及ばない。テコ入れを図るリーフの販売が日米で上向くか。世界のライバルが日産の行方を見守っている。

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