2024年 5月 1日 (水)

中国で外国人記者に警察官が「暴力」 当局「黙認」、取材現場でのルール違反主張

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日本人記者は語学堪能、見た目が似ていて「誤解」されることも

   過去には、中国の警察とのもみ合いにとどまらず、明らかに暴行を受けたとの報告がある。朝日新聞の奥寺淳・上海支局長が2012年、江蘇省南通市啓東でデモを取材中、警官に突然カメラを奪われたうえ殴られたという。2012年8月3日付の同紙記事によると、奥寺氏は後頭部に4か所の腫れ、背中と腕に打撲傷のあざが多数でき、病院で全治2週間と診断されたと証言した。朝日新聞は市当局に抗議、だがその後公安当局が「証拠なし」として捜査を打ち切ったと報じられた。

   国際人権組織「ヒューマンライツウォッチ」も2011年3月3日、北京で同年2月に外国人記者が警官に「繰り返し顔面を殴られ蹴られるという暴行」を受けた揚げ句カメラを没収されたと発表した。その記者は打撲と内臓損傷の疑いで治療を余儀なくされたという。ほかにも米ブルームバーグやCNN、英BBC、独ARDテレビのジャーナリストが、制服警官らに暴行されたとした。これに対して中国外務省は、一連の暴行に対する抗議を認めず「適切に対応した」と主張。記者たちが「公共の場所に集まりうろついていた」のが原因とみなした。

   外国人記者よりも中国人記者はさらに扱いがひどく、警察側が手加減なく殴りつけたりするのだという。福島氏によると、欧米の記者の場合は中国人を助手を雇って通訳などに当たらせることが多いが、警察とトラブルになった場合「中国人助手に『外国人の味方をしやがって』と厳しく接することがあります」。一方日本人記者は、見た目が中国人と似ているうえに中国語が堪能な人も多く、通訳をつけないでいるとしばしば「誤解」されることもあるそうだ。

   今回の中国外務省による「規定を守れば暴力行為は発生しない」という声明は、特に新しい話ではないと福島氏は指摘する。規則を破ったからといって暴力に訴えるという方法は、決して好ましいわけではない。ただ在中ジャーナリストにとってはある程度「想定の範囲内」で、「だからと言ってすごすごと引き下がるほど、記者たちも『やわ』ではないでしょう」。

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