2019年 9月 22日 (日)

「日中偶発軍事衝突」は起こるのか(4)
「中国尖閣侵攻」でも米軍は即出動するわけではない 議会が承認しない場合は見送りの可能性強い
早大客員教授・春名幹男氏に聞く

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「中国が尖閣を攻めたら進んで介入する」とは積極的に言わない

――現状の日米関係から見て、「尖閣有事」の際に米国はどのような動きを見せると推測できるでしょうか。

春名 実はオバマ大統領の対日姿勢には微妙なものがあります。米政府の尖閣諸島政策はブッシュ前政権時に、(1)尖閣諸島は日本の施政権下にある、(2)日本の施政権下にある領域は日米安保条約第5条が適用される、(3)したがって尖閣諸島は安保条約の適用対象となる、という三段論法で示されました。ところが2009年1月にオバマ大統領が就任すると、これが「微修正」されます。すなわち(1)と(2)はそのまま受け継ぐが、(3)だけは「質問されたらイエスと答える」との立場に変更し、米政府としては公言しなくなったのです。共同通信が2010年8月16日、これをスクープし、国務省報道官もその政策変更を事実上認めました。
   これはどういうことか。米政府が中国を刺激しないために、(3)については聞かれない限り答えないスタンスをとるようになったのだと推測します。「中国が尖閣を攻めたら米側が介入する」とは積極的に言わない、というわけです。その後、2010年10月に当時の前原誠司外相とヒラリー・クリントン米国務長官が会談し、長官が(3)についても自ら公言して以前の形に戻りました。ただ、オバマ大統領の中国に対する配慮の姿勢が見え隠れする一例ではありました。
   懸念材料はほかにもあります。オバマ大統領と安倍首相との個人的な信頼関係が確立していません。4月の来日時でも短時間の会談に終わっています。緊急事態が発生したときに「ホットライン」で首脳同士が意思疎通し米側に支援を求める態勢が取れるかと言えば、なかなか難しいでしょう。
   日本の防衛の基本は日米同盟であり、同盟関係の再構築は最優先課題です。現状、米国内ではイラク戦争やアフガニスタン介入の結果厭戦気分が高まっている一方、中国経済の存在感は増しています。複雑な要素が絡み合うなか、日米の政府レベルで「ずれ」が見られる今日は、少々な心配な状況と言わざるをえません。


春名幹男さん プロフィール
はるな・みきお 早稲田大学客員教授。専門は日米関係、米国政治・安全保障、インテリジェンス。大阪外国語大学(現・大阪大学)卒業後、共同通信社入社。大阪社会部、ニューヨーク支局などを経て1993~96年ワシントン支局長。1995年ボーン・上田記念国際記者賞、2004年日本記者クラブ賞を受賞。名古屋大学大学院国際言語文化研究科教授を退官後、現職。著書に「米中冷戦と日本」(PHP研究所)、「秘密のファイル―CIAの対日工作」(共同通信社)ほか多数。

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