「東大か京大か」のパターン崩れる 三菱東京UFJ銀に「慶応卒」頭取

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   三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)傘下の三菱東京UFJ銀行の小山田隆頭取が突然、退任することになり、銀行業界に衝撃を与えている。小山田氏は早くから「将来の頭取」としてエリートコースを歩み、満を持して就任してから僅か1年あまり。体調不良を理由に2017年6月14日付で退任する異例の事態で、同行の今後のトップ人事のあり方にも影響を及ぼしそうだ。

   「誠に残念だが、健康上の理由でやむを得ない」。三菱UFJ・FGの平野信行社長は5月24日、東京都内で記者会見を開き、小山田氏退任を発表した。病名など詳細は「個人的なこと」として伏せられたが、関係者によると、激務が重なって相当疲れがたまっている状態だという。

  • (画像はイメージです)
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密かに「プラン」発動に向けた準備が加速

   小山田氏が、平野氏に初めて体調不安を打ち明けたのは2月。平野氏は、小山田氏が頭取職をまっとうできないという「万一の事態を想定して、危機対応プランを策定していた」と明かす。

   ただ、その時点で小山田氏に辞任の考えはなく、4月には全国銀行協会会長にも就任。危機対応プランが発動されることはなかった。しかし、5月に入って事態は急展開する。小山田氏が再び、FG側に体調が思わしくないことを告げたのだ。

   これを受け、FG内では密かにプラン発動に向けた準備が加速した。今回、次期頭取に決まった三毛兼承(かねつぐ)副頭取は、5月15日の決算発表に合わせてグループ会社への転出が発表されるとの見方が大勢だったが、副頭取続投とされた。不自然な人事に関係者は首をひねったが、三毛氏へいつバトンが渡ってもいいように環境整備が進んでいたというわけだ。

   5月19日、小山田氏が正式に「頭取の業務を遂行できない」と辞任を申し出たことを受け、社外取締役らで構成する「指名・ガバナンス委員会」が次期頭取選任の手続きを開始。三毛氏への交代が正式決定した。

   三菱東京UFJ銀の頭取は歴代、東大か京大卒の旧三菱銀出身で、企画部門の経験者が務めるのがコースだった。外部からも「将来の頭取」が容易に想定できるほど、トップ人事はワンパターン化しているともいえる。東大卒の小山田氏も「条件」通りの経歴に加え、旧東京三菱銀と旧UFJ銀の合併に携わるなど実績も申し分なく、早くから頭取就任が確実な「プリンス」と呼ばれてきた。

海外経験が豊富な国際派

   ところが今回、その小山田氏の不測の退任で、ワンパターン化したトップ人事の先行きは混沌としてきた。急きょ登板する三毛氏は小山田氏の同期で、慶応大卒とあって頭取就任はまさに想定外だからだ。他の大手行幹部は「三毛氏の次の頭取の行方も予想しづらくなった」と話す。

   三毛氏は海外経験が豊富な国際派で、国内の企画部門が長い過去の頭取たちとは『毛色』が異なる。ただ、国内の収益が日銀のマイナス金利政策の影響で伸び悩む中、海外業務の重要性は増す一方だ。平野氏も、三毛氏を次期頭取に選んだ理由として海外子会社の経営の経験があることを挙げており、今の時代にふさわしいトップとも言えそうだ。

   想定外で就任する次期頭取が行内に新風を吹き込み、硬直化したトップ人事のあり方が変わるきっかけとなるのか。三毛氏の手腕が注目される。

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