2020年 8月 15日 (土)

岡田光世「トランプのアメリカ」で暮らす人たち 大統領支持者の教会に行ってみた

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「トランプはヒラリーではないから」

   トランプ氏はプロテスタントの信者だが、教会にはクリスマスに足を運ぶ程度で、「何のために神のゆるしを乞うのか」などと公然と口にしている。女性蔑視発言やポルノ女優と性的関係を持った疑いなど、保守派キリスト教徒が好むような「信心深くて道徳的な人間」とはいえそうもない。なのになぜ、大きな支持を得ているのか。

   その答えの1つは、「トランプはヒラリーではないから」。彼らの多くはヒラリー・クリントン氏を嫌っている。ほかにも理由はあるが、ひとつには、ヒラリー氏は公然と人工妊娠中絶や同性愛者などLGBTの権利を擁護していることがある。この連載でも何度か触れたように、この2つは一般の保守派キリスト教徒にとって譲れない点だ。

   以前、トランプ氏は穏健な共和党員で、中絶支持の発言をしていた。しかし、保守派の票を掴むために立場を変えたと、リベラル派から揶揄されている。選挙キャンペーン中は、聖句をよく引用した。「伝統的な価値」が失われる危機感を感じている保守派キリスト教徒は、ポリティカリー・コレクトでないトランプ氏ならある意味強引に、彼らにとっての「古きよき時代」を取り戻してくれるのではないか、と期待した。

   テキサス州ダラスにあるバプティスト教会の牧師が、「福音派は十戒を信じている。ポルノ女優と不倫などすべきではない。だが、それとトランプ氏の政策や強いリーダーシップへの支持は、まったく別問題だ。トランプ氏は聖職者ではない」とFOXニュースに対して発言し、リベラル派から強い批判を浴びた。

   この牧師は言う。「私たちは皆、罪びとで、神にゆるしを乞う必要がある。トランプ氏であろうと誰であろうと、イエスを信じる者にはゆるしを与えられる」

   トランプ氏がゆるしを乞うかどうかは別として、ジェリーと私が聞いた牧師の説教にも、通じるものがある。

   ニューヨークに戻る前日、ジェリーに別れの挨拶に行った。これが彼女の餞別の言葉だった。

「あなたの神に従って生きていくのよ。そうすれば、すべてうまくいきますから」

   次回はメガチャーチとトランプ氏について、改めて触れたい。


(随時掲載)


++ 岡田光世プロフィール
おかだ・みつよ 作家・エッセイスト
東京都出身。青山学院大卒、ニューヨーク大学大学院修士号取得。日本の大手新聞社のアメリカ現地紙記者を経て、日本と米国を行き来しながら、米国市民の日常と哀歓を描いている。米中西部で暮らした経験もある。文春文庫のエッセイ「ニューヨークの魔法」シリーズは2007年の第1弾から累計37万部を超え、2017年12月5日にシリーズ第8弾となる「ニューヨークの魔法のかかり方」が刊行された。著書はほかに「アメリカの家族」「ニューヨーク日本人教育事情」(ともに岩波新書)などがある。


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