2020年 2月 21日 (金)

『日報隠蔽』の著者に聞く(下) 南スーダンPKO、自衛隊はなぜ危険な現地に踏みとどまったのか

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政権にとって「不都合な真実」が隠される

――PKOにはカンボジア以来25年に及ぶ歴史があります。トータルすると1万人近くが行っている。

布施 原点には「湾岸のトラウマ」があります。日本は金だけ出す小切手外交だ、やっぱり日本が国際社会の中で貢献していくためには自衛隊を出さなくちゃいけないんじゃないか、という出発点ですね。大きな流れで言うと、防衛省、外務省、政府一体になって、少しずつ出していこう、徐々に抵抗感を下げていって拡大していくという流れはあったのかなと思うんです。
 ただ、やっぱりカンボジアPKOのときでも、実は初めから日本国内の憲法9条との整合性をとるために作られたロジックっていうのは、かなり現場と乖離してた。乖離した時に、現場の事実をもとに議論するんじゃなくて、乖離してるから現場の事実の方を隠してしまいましょう、ということが最初から行われていたんですよね。そのボタンの掛け違いがどんどん膨らんで、広がっていって、ついに限界まで来たのがこの南スーダンだったのかなと僕は思っています。
 2013年の12月に、現場からは危険な状況の報告があがっているのですが、なぜそこで継続したかってことですよね。13年12月というのは、安倍政権が初めて国家安全保障戦略を制定した直後なんです。そこで打ち出したのが「積極的平和主義」なんですよ。つまりこれから、世界に向けて、軍事的にも日本は貢献していくんだというメッセージを出した直後に、唯一海外で自衛隊が活動していたのが南スーダンだったんです。実は、戦闘が勃発した直後、中央即応集団の司令官は現地の派遣部隊に、いつでも撤収できるよう準備を指示しました。でも、おそらく政府は、国家安全保障戦略で積極的平和主義を打ち出した直後だったので、ここで引き揚げたらまずいと判断して、戦闘をなかったことにして活動継続を決めたのだと思います。
三浦 たぶんその通りだと思う。
布施 そういう意味では、16年の7月、なぜ派遣を継続したかと言うと、これもやっぱり安倍政権が非常に重視して2015年9月に成立させた安保関連法に基づく新任務の付与という実績作りを優先させたわけですよね。
 そのためには、現地で戦闘が起こっている事実はどうしても伏せられなければならなかった。そういう背景が、この「日報隠蔽」にはあったんじゃないかと思います。
 いったん新任務を付与したが、治安が悪化して、実際に何か起こってしまって、仮に自衛隊員に戦死者が出れば、それこそ政権が吹っ飛びかねないというリスクをいち早くなくすために、撤収させたのではないか。
 とにかく、政権のある種のご都合主義と言うか、まず結論があって、それに合わない事実であったり現実は、なかったことにされてしまう。森友問題も厚労省の裁量労働制のデータの問題もそうですけど、安倍政権に共通した性格ではないかと思います。
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