2024年 5月 8日 (水)

新型コロナでホテルが「日本人専用フロア」 予約サイトからは取り下げも...法的にはOK?NG?

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国際人権規約、旅館業法の観点は?

   2点目は、国際人権規約や人種差別撤廃条約との関連。下記2つの条文が関係するという。

国際人権B規約第26条「すべての者は、法律の前に平等であり、いかなる差別もなしに法律による平等の保護を受ける権利を有する。このため、法律は、あらゆる差別を禁止し及び人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、出生又は他の地位等のいかなる理由による差別に対しても平等のかつ効果的な保護をすべての者に保障する」

人種差別撤廃条約第5条「第2条に定める基本的義務に従い、締約国は、特に次の権利の享有に当たり、あらゆる形態の人種差別を禁止し及び撤廃すること並びに人種、皮膚の色又は民族的若しくは種族的出身による差別なしに、すべての者が法律の前に平等であるという権利を保障することを約束する。(中略)(f)輸送機関、ホテル、飲食店、喫茶店、劇場、公園等一般公衆の使用を目的とするあらゆる場所又はサービスを利用する権利」

   樋口弁護士は、これらに反する対応か否かが問題となり得るとして、次のように示す。

「これら規約や条約も不合理な差別のみを禁止するものであり、上記のとおり、『日本人専用フロア』というプランを設けることは不合理な差別とまでは解されず、これら規約や条約に反する対応とまでは言えないと考えられます」

   3点目は、宿泊拒否を制限した旅館業法5条に反するかどうか。これについても樋口弁護士は、次の通り条文の趣旨に反するものでないと考えられる、との見解を示した。

「旅館業法は、旅館業の健全な発達を図るとともに、旅館業の分野における利用者の需要の高度化及び多様化に対応したサービスの提供を促進し、もって公衆衛生及び国民生活の向上に寄与することを目的としており、その第5条において、
『第5条 営業者は、左の各号の一に該当する場合を除いては、宿泊を拒んではならない。
一 宿泊しようとする者が伝染病の疾病にかかっていると明らかに認められるとき。
二 宿泊しようとする者がとばく、その他の違法行為又は風紀を乱す行為をする虞があると認められるとき。
三 宿泊施設に余裕がないときその他都道府県が条例で定める事由があるとき。』
と定めております。

しかし、『日本人専用フロア』プランは、宿泊を希望する外国籍の方の宿泊自体を拒否するものではなく、本条の趣旨に反するものではないと考えられます」
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