2020年 6月 7日 (日)

ビニールカーテン、つけ方次第で「消防法」違反のおそれ? 新型コロナ対策に注意喚起も

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   新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の飛沫対策で、レジや窓口にビニールカーテンを設置する店舗が増えているが、取りつけ方によっては消防法に違反するおそれもあるとして、ウェブサイトで注意を促す自治体が出てきている。

   具体的には、付近に火元がないかどうか、火災報知機などの消防設備に影響しないかどうか、といったポイントがある。総務省消防庁はJ-CASTニュースの取材に、「もし不安があれば、取りつけ時に所轄の消防署や消防本部にご相談いただきたい」としているが、「実際の取り付けに際しては、消防法令上問題になるような状況は考えづらい」とも話している。

  • 神戸市が消防法上も問題ないものとしてウェブサイトに掲載している写真
    神戸市が消防法上も問題ないものとしてウェブサイトに掲載している写真
  • 神戸市が消防法上も問題ないものとしてウェブサイトに掲載している写真

設置場所などによって「消防法により防炎性能を有するビニールカーテンを使用する必要」

   神戸市は2020年5月21日付で「ビニールカーテンを設置する場合は注意してください」として、ウェブサイトで大きく2点から注意を呼びかけた。1つは、ビニールカーテンの素材に多い塩化ビニールが燃えやすい素材のため、火気や照明器具(白熱灯)の近くには設置しないこと。もう1つは、自動火災報知設備の感知器や、スプリンクラーヘッドなど消防設備の障害にならないようにすることだ。

   また、ビニールの大きさや設置場所などによっては「消防法により防炎性能を有するビニールカーテンを使用する必要があります」とし、必要に応じて消防署に相談するよう呼びかけている。同様の注意喚起は大阪府豊中市も20日にウェブサイトへ掲載するなど、複数の自治体でなされた。

   政府専門家会議の4日の提言でも、事業者における感染対策の1つとして「人と人が対面する場所は、アクリル板 ・透明ビニールカーテンなどで遮蔽する」と盛り込まれたビニールカーテン。19日には毎日新聞の大阪夕刊で「窓口ビニール、火気注意 白熱灯も火元に コロナ対策『消防署に相談を』」と、ビニールカーテンの火気への注意について報じられ、消防の観点からもにわかに注目されるようになっている。

「消防上の意識をもっていただくのは大切なこと」

   神戸市消防局予防部査察課の担当者は22日、「報道を契機に消防に問い合わせる方もいるだろうと想定し、ウェブ上でポイントを示しました」とJ-CASTニュースの取材に話す。報道の前にも事業者から1件、ビニールカーテンは防炎のための規制がかかるかと問い合わせがあった。ただ、実際に消防法違反の事例は取材時点で「確認していない」という。

   ただし、担当者は「レジの対面用にカーテンをつけるといった場面では、法令上の規制が及ぶことはほぼありません。火災報知機をビニールで完全に囲ってしまうなど、極端な使い方をすればもしかしたら(違反する)可能性はあります」と話しており、消防法違反に該当するケースはかなり限定的とみられる。「天井からビニールをつるす時に火災報知機が近くにあるような場合など、不安があれば、消防署や消防本部にご相談いただければアドバイス致します」としている。

   豊中市消防局予防課の担当者も、取材に対し「カーテンについて事業者から消防法に関する問い合わせがあったのに加え、新聞記事を読んで関心が高まる市民もいると思い、ウェブ上で説明することにしました」と話す。実際に違反とみられる事例があるかどうかは、新型コロナの影響で立ち入り検査ができていなかったため、把握していない。大阪府、京都府、兵庫県で21日、緊急事態宣言が解除されたため「徐々に立ち入り検査を進める可能性もある」という。

   担当者はビニールカーテンについて「防炎の性能がないものは、火気のそばにあれば燃える可能性があります。感染防止の点と一緒に、消防上の意識をもっていただくのは大切なことだと思います」と話している。

どこまでが消防法令上の「カーテン」か

   消防法では、特定の施設(防火対象物)に設置する特定の物品(防炎対象物品)について、「防炎性能」を持たせるようにと規定がある。取材に応じた総務省消防庁予防課の担当者によると、防火対象物としてあげられている施設には劇場や飲食店、旅館、病院などに加え、「百貨店、マーケットその他の物品販売業を営む店舗又は展示場」がある。ここにコンビニやスーパーなども含まれてくる。また、防炎対象物品の中には「カーテン」が明記されている。「防炎性能」にも、火をつけてから燃え終わるまでの時間や、燃え終わるまでに炭化する面積など、細かい規定がある。

   総務省消防庁の担当者は、ビニールカーテンについてはこうした「防炎」に関する点と、「防災設備への支障」に関する点の2つが論点として考えられるとする。冒頭に示した自治体の注意喚起の2点と同様だ。

   まず「防炎」に関して、「持つべき防炎性能は設置場所の状況なども関係します。火元になるものが近くにないことはもちろん、人が常駐していれば予防上支障がないとして、規制対象外と判断されることもあります」とした上で、新型コロナ対策のビニールカーテンについてこう話す。

「コンビニのビニールカーテンでいえば、レジカウンターに火元はないし、店員が常駐していますね。ただし、あまりないとは思いますが、コンビニでも揚げ物用のフライヤーのすぐそばに置くとか、小規模飲食店で厨房の火元のそばにレジがあって、そこにビニールカーテンをかけるとかいった場合は、防炎性能が必要になってくるでしょう。

また、そもそもビニールカーテンのうちどこまでを消防法令上の『カーテン』に含むかという問題もあります。天井から吊り下げていれば含まれるでしょうが、顔と顔を遮るだけのちょっとした幕を『カーテン』というべきかといえば、そうではないと思います。過去には『のれん』の解釈をめぐって、設置形態や火災予防上の支障の有無に鑑みて『カーテン』にあたるかどうかを個別判断することになった例もあります」

   そのため、個別のケースについては「地元の消防署や消防本部にご相談いただけば、対応していただけるでしょう」という。流通するビニールシートの商品には防炎性能を満たしたものもあり、火元が近くにある状況などであればこうした物を設置することになるとみられる。ただし、「各消防本部からも、ビニールカーテンの防炎性能に関して事業者が具体的に困っているという話は聞いていません」としている。

実際の取り付けで「法令上問題になるような状況は考えづらい」

   一方、「防災設備への支障」の点については、自動火災報知設備の感知器が正常に作動できる状態にあるかどうかがポイントになる。消防法施行令上は「有効に火災の発生を感知することができるように設けること」という規定がある。

   同庁の別の担当者が取材に応じ、「熱・煙の感知器を全部ビニールカーテンで囲み、個部屋のような状態にしてテープで止めるといった、極端な設置をした場合に問題になる可能性はあります」と話す。ただ、「実際の取り付けに際しては、法令上問題になるような状況は考えづらい」と過度な心配はしないようにと指摘する。そのうえで、

「一般論としては有効に火災を感知できるよう注意すべきです。しかし、新型コロナ対策で店舗のレジにつけるようなビニールカーテンで、そこまで空間が区切られることはあまりないと思います。少なくとも私は、正常に感知できなくなるようなビニールカーテンのつけ方をしているお店は見たことがありません」

との見解を示した。

(J-CASTニュース編集部 青木正典)

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