2024年 4月 20日 (土)

外岡秀俊の「コロナ 21世紀の問い」(29) 米国はバイデン政権下で分断を克服できるか

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

バイデン政権で「アメリカ・ファースト」は変わるか

   バイデン次期大統領は、国際協調派と目され、欧州での次期政権への期待は高まっている。独断専行のトランプ政権に振り回された日本でも、ある程度予測可能な米政権の登場は安心感を与えるだろう。だが、そこにはまだ疑問がつきまとう。

   トランプ政権はたしかに「アメリカ・ファースト」という自国優先主義を打ち出した。だがそれは、かつての「モンロー主義」への本卦還りなのだろうか。あるいは中国の覇権を前にして相対的な国力の衰えや地位低下を醒めた目で認識し、必死で食い止めるため、なりふり構わずアメリカの生き残りを図る最初の兆候ではなかったか。

   後者の場合、バイデン政権が自国優先主義から一転して国際社会のリーダーとして振る舞うとの予測は楽観的に過ぎるということになるだろう。とりわけ、トランプ氏を支持した7300万票の重みを考えれば、対中国への宥和姿勢への転換や、日欧に対する防衛負担・協力への高圧的な要請を、すぐに取り下げるとは考えにくい。こうした質問をぶつけると、古矢さんの答えは次のようなものだった。

「モンロー・ドクトリンというのは、まさにアメリカ・ファーストの考えに近かった。ただ、20世紀に帝国主義化するアメリカの国際化は、常にアメリカ的なデモクラシーを国際標準にして他国に押し付けるという形をとってきた。グローバル化時代の国際金融標準、国際会計標準に至るまで、ずっとそうです。それに対し、日本は、アメリカ的な国際標準には追随するが、自分だけは別扱いにしてほしいという態度をとってきた。これは明治時代以降、ずっと続くメンタリティといえるかもしれない」

   「第1次大戦後のパリ講和会議で、日本の牧野伸顕全権は国際連盟規約に人種差別撤廃を明記するよう提案した。だが、それは有色人種全体への人種差別をやめさせるという普遍的な民主主義的な立場からの提案ではなく、日本だけは特別扱いにしてほしい、という姿勢だったのではなかったか。オーストラリアの『白豪主義』の時代にも、南アフリカでアパルトヘイトが行われていた時期にも、『名誉白人』の扱いを求めたことも、その延長にあるように思う。バイデン政権の国際政策がどうなるにせよ、日本は普遍的で、他国も耳を傾けるような、独自の主張をしていくようにしてほしい」

姉妹サイト

注目情報

PR
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中