2024年 4月 26日 (金)

岡田光世「トランプのアメリカ」で暮らす人たち
血の付いた包帯に催涙弾、議事堂は戦場だった

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「議事堂の中では、想像できないことが起きている」

   私が議事堂に到着した時には、すでにトランプ支持者たちが議事堂の建物の外側を占領し、敷地内は支持者でびっしりと埋まっていた。あちこちで「TRUMP 2020」や星条旗の大旗が翻っている。

   「We, the people!」「USA!」などと声をあげ、皆で高らかに「星条旗よ、永遠なれ」や「アメイジング・グレイス」を歌い、歌い終わると、歓声がわき、鳴り物が響き渡った。声は大きいが平和的な雰囲気で、携帯を手に笑顔で撮影していた。

   20代くらいの白人女性は、「ここにみんなと一緒にいることができて、とても嬉しい。信じられない経験だわ」と喜びを隠せない様子で話す。独立戦争の頃のコスチュームを着た男性が、太鼓を叩いて歩き回っている。

   ほとんどの人は、毛糸帽にパーカー、ジーンズに厚手のジャケットというごく普通の服装だったが、中にはヘルメットに防弾服と、完全武装した武装組織「ミリシア」のメンバーたちもいた。

   そのうちの1人は、ノースカロライナ州に住む元陸軍軍人で、「自分たちの国を取り戻すために、戦いの準備はある」と私に言った。

   やがて、「議事堂の中に支持者の一部が侵入し、警官との間で混乱が起きているらしい」との情報が伝わってきた。あまりの人の多さで携帯は繋がらず、中で何が起きているのか、SNSなどで確認することができない。

   人々が高らかに米国歌を歌うのを聴きながら、私の前の女性が涙をこらえている。「なぜ、泣いているの?」と声をかける私に女性は声を振り絞り、「怒りとか、いろいろな思いが込み上げてきたの。ここにいることを、誇りに感じてもいるわ。でも、建物の中の様子を見たのよ。どうして、こんな事態にならなければならなかったの? 私たちの声に耳を傾けてもらうために、こんなことをしなければならないなんて。議事堂の中では、ここでは想像できないことが起きている」と言うと、泣き崩れた。

   催涙弾で目を痛めて苦しんでいる人、血が滲んだ包帯を頭に巻いた人、横になった状態で運び出されてくる人などが増え始める。突然、戦場の最前線にいるような緊張感が広がった。

   建物の中から出てきた男性が、「俺たちは数で負けている。武装したやつ、中に入ってくれ!」と声をかける。ごく普通の格好の20代くらいの女性が、上がっていこうとしたので、男性が止めたが、「私も戦う!」と駆け上がっていった。

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