2021年 12月 8日 (水)

岡田光世「トランプのアメリカ」で暮らす人たち
血の付いた包帯に催涙弾、議事堂は戦場だった

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「あんなことをして、僕たちは何を手に入れたんだ?」

   先に触れたカリフォルニア州から列車とバスでやってきたクリスは、議事堂まで行進してきた。しかし、建物内部に乱入した人たちがいると知り、その場を立ち去ったという。そして、後から議事堂に向かってくる人たちに、「建物の中には乱入しないでくれ」と声をかけた。

「マスコミはこの事件を、トランプのせいにする。僕たちは責任ある大人だ。自分たちの意志で、行動したことだ。トランプを責めるのは、おかしい。法を犯してはいけない。あんなことをして、僕たちは何を手に入れたんだ? 『トランプ支持者はケダモノだ』とマスコミに書き立てられ、ますます見下されるだけだ。そして、現にそうなってしまった」

   トランプ支持者たちは、大統領選に「不正」があったと固く信じて疑わない。

   前々回の記事で触れた、1月5日の集会で出会ったアラバマ州のアマンダは、「公正な選挙でバイデンが大統領に選ばれるのなら、私はそれを尊重し、私の大統領としてもちろん、支持する。でも、勝利したのは、トランプ大統領。不正の証拠はいくらでもあるのに、マスコミも司法もトランプを引きずり落とすために、手を組んでいる。なぜ真実が見えないのか」と訴えていた。

   議事堂の敷地内にいた高齢の男性が、私につぶやいた。

「これまで不正をずっと訴え続けてきた。法的手段にも出た。でもすべての道は閉ざされてしまった」

   彼らは一体、ワシントンで何をしたかったのか。大統領選挙の不正をいくら地元で叫んでも、首都ワシントンには届かない。議員たちにその思いを直接、届けるために議事堂に集い、数を頼んで皆でアピールするしかなかった。

   その「純粋な思い」は、しかし、一部の過激な行動のせいで、国政に届くどころか、逆効果になってしまった。

(随時掲載)

++ 岡田光世プロフィール
おかだ・みつよ 作家・エッセイスト
東京都出身。青山学院大卒、ニューヨーク大学大学院修士号取得。日本の大手新聞社のアメリカ現地紙記者を経て、日本と米国を行き来しながら、米国市民の日常と哀歓を描いている。米中西部で暮らした経験もある。文春文庫のエッセイ「ニューヨークの魔法」シリーズは2007年の第1弾から累計40万部。2019年5月9日刊行のシリーズ第9弾「ニューヨークの魔法は終わらない」で、シリーズが完結。著書はほかに「アメリカの家族」「ニューヨーク日本人教育事情」(ともに岩波新書)などがある。

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