2021年 9月 28日 (火)

「補償と罰則」ばかり焦点あたるけど... 立憲がなぜか指摘しない、コロナ特措法の「重大な問題」とは

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   2021年1月18日に召集された通常国会では、政府は新型コロナ特措法や感染症法の改正案を提出する。これらの法案に盛り込まれる罰則の是非をめぐって論戦が展開されるが、緊急事態宣言の前段階として政府が新設する方針の「予防的措置」についても、懸念の声があがりはじめた。

   予防的措置は、緊急事態宣言を出さなくても都道府県知事が事業者に対して営業時間の短縮要請ができるようになり、応じない場合は命令ができる。それでも応じない場合は過料を科したり、公表できるようになったりする。緊急事態宣言の発令には国会への事前報告が必要だが、予防的措置では国会の関与がないままに私権の制限ができるようになる、という懸念だ。

  • 新型コロナ特措法改正案に盛り込まれる「予防的措置」改め「まん延防止等重点措置」も議論の対象になりそうだ
    新型コロナ特措法改正案に盛り込まれる「予防的措置」改め「まん延防止等重点措置」も議論の対象になりそうだ
  • 新型コロナ特措法改正案に盛り込まれる「予防的措置」改め「まん延防止等重点措置」も議論の対象になりそうだ

緊急事態宣言の前段階で「地域を絞り業種を絞り、措置をとっていく」と西村氏

   西村康稔経済再生相は1月17日朝にNHKで放送された「日曜討論」で、予防的措置の意義を

「『まん延防止等重点措置』ということで法律上は書こうと思っている。緊急事態宣言は、今、発出されているが、かなり広く、さまざまなことの制限がかかってくる。そうなる前の段階で、地域を絞り業種を絞り、措置をとっていく。これに実効性を上げれば、緊急事態宣言に至らないようにする(ことができる)ということで、そういう措置、まん延防止措置を新設し、ここでも強制力を持てるようにしたい」

などと説明していた。

   予防的措置の方向性は、1月13日に開かれた政府・与野党連絡協議会で与党側から示され、18日夕までに共産党や国民民主党から異論が出ている。例えば、協議会の場で共産党の田村智子政策委員長が

「予防的措置で、要請に応じない場合を調査して違反かどうかを判断するのは保健所だという。保健所がこれだけ大変なときに、実効性があるのか」

などと実効性を疑問視。このことを1月14日付けの機関紙「しんぶん赤旗」が報じている。1月16日には、小池晃書記局長が

「罰則に加えて、『予防的措置』の名で『緊急事態宣言』すら出さずに、私権制限を拡大するのは極めて重大。私権制限には、十分な補償と民主的議論、政府への信頼が不可欠」

とツイートしている。

「緊急事態宣言が出ないでも罰則を課すことができるような新しいカテゴリー」

   国民は20年12月、施設の使用停止を知事が命令することができ、従わない場合は罰則を科すことができる独自の特措法改正案を提出しているが、今回の予防的措置には批判的だ。

   玉木雄一郎代表は1月14日の記者会見で、国民が提出した案は、緊急事態宣言下で「より強い薬」を使う際に事前の国会承認を必要とするなど民主的統制をかける一方で、それ以外では私権制限はできるだけ行わない「非常にメリハリをつけた」案だが、検討が進む予防的措置では

「今回ある種のグレーゾーンができたことによって、緊急事態宣言が出ないでも罰則を課すことができるような新しいカテゴリーができて、しかもここには、国会の承認も報告も関わらない」

として、民主的統制がきかないことを危惧。その上で

「予防的措置を設けること自体には反対ではないが、今の段階では、要件等について、あるいは関係性等については、まだまだ不明確なので、にわかに『これで全部OKですよ』という段階にはない、ということだ」

などと話した。

立憲の「上顧客」が「ギャーギャー言えば...」

   弁護士からも懸念の声があがっている。1月16日には、弁護士ら有志が「新型コロナ対策の法改正の方向性には自由と生活を脅かしかねない重大な問題がある」とする声明を発表。声明では、予防的措置について

「従来の緊急事態宣言でもできなかった、罰則つきで人々の活動を制限できる状態を、政府が国会の関与や期間の制限もなく自由に作れてしまう」

と指摘している。

   この日開かれたオンライン会見の出席者からは、緊急事態宣言で、デモなどの集会を開くことが難しくなっている中で審議が進むことへの危惧や、安保法制や憲法の緊急事態条項に比べて議論が低調で、最大野党の立憲民主党から目立った声が上がらないことを指摘する声が出た。例えば倉持麟太郎弁護士は、支持団体の動きが活発でないことが一因だとの見方を披露した。

「批判的な見方だが、例えば安保法制の時とかに動いた『立憲デモクラシーの会』とか『市民連合』とか『(安全保障関連法に反対する)学者の会』みたいな人たちは、立憲民主党の『上顧客』。あの人たちがギャーギャー言えば、『この人たちがギャーギャー言っているんだから、自分たちもギャーギャー言わなきゃ』となると思うが、今回は、何となく両方とも反対しないというところで、緩やかな共謀状態になっているので、出足が鈍いのでは」

   坂井学・官房副長官は1月18日午後の会見で、「予防的措置」改め「まん延防止等重点措置」の検討状況について、

「現在、与党において法案をご審議いただいているところで、まだ法制作業の途中だ。現時点で法案内容の詳細について、ここで政府の立場でお答えすることは差し控えたい。政府としては、特措法と感染症法は相互に連係しているので、合わせて検討を急ぎ、与野党のご意見もうかがいながら、改正法案を通常国会のできるだけ早い段階で提出したい」

などと述べるにとどめた。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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