2024年 4月 25日 (木)

サンバじゃないのに「マツケンサンバ」 歌謡曲の「謎タイトル」なぜ定着?その歴史を調べた

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「マツケンサンバⅡ」がサンバではない理由

   サンバはブラジル発祥の音楽で当地の文化と結びついているが、厳密にはどのような音楽なのか。音楽ライターのハシノイチロウさんに聞いた。

「サンバとは、20世紀初頭にブラジルのバイーア地方で生まれた音楽で、奴隷として連れてこられたアフリカ人のリズム感覚とポルトガルの文化がミックスされたものとされています。基本的にダンスのための音楽であり、打楽器が中心です」(ハシノさん)

   本場のサンバではボンゴではなくスルド、カイシャなどの打楽器を使い、日本人の耳には「マツケンサンバ」よりも土俗的でエキゾチックに聞こえる。

カーニバルのサンバと「マツケンサンバⅡ」は音楽的にはかなり違う(浅草サンバカーニバルにて)写真:UPI/アフロ
カーニバルのサンバと「マツケンサンバⅡ」は音楽的にはかなり違う(浅草サンバカーニバルにて)写真:UPI/アフロ
「2拍子で2拍目にアクセントがあり、大太鼓で2拍目を強調するとサンバっぽくなります。そこにパンデイロやタンボリンといった、タンバリンに似た小さな打楽器を細かく入れるとさらにサンバ感が出ます。リズムの刻み方に『クラーベ』という、ラテン音楽に独特のシンコペーションのパターンが見られます。また、ここぞという時のリズムのキメが3連符なことも特徴的です。曲のテンポは様々で、重くゆったりとした曲調から、超高速までいろんなタイプがあります」(ハシノさん)

   そして「マツケンサンバⅡ」であるが、ハシノさんは「『マツケンサンバⅡ』には前述のブラジル音楽のリズムの特徴がまったく見られません」として、

「曲のジャンルとしては、フィリー・ソウルがもっとも近いと思います。70年代中頃のソウルミュージックの一ジャンルで、ゴージャスなストリングスやコーラス、4つ打ちのビートが特徴です」

   と分析する。

   「サンバ」と名の付く歌謡曲には「お嫁サンバ」(1981)「てんとう虫のサンバ」(1973)「白い蝶のサンバ」(1970)などがあるが、ハシノさん曰く

「いずれの曲も『マツケンサンバⅡ』と同じく、ブラジル音楽を感じさせる要素が皆無です。『お嫁サンバ』はティンバレスやボンゴといったラテンパーカッションがふんだんに使われており、ベースラインやピアノのフレーズ的にもサンバというよりはサルサに近いと思います」

   という。厳密にはサンバとは言えない曲も、日本人は構わず「サンバ」と名付けて聴き続けてきたようである。

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