2024年 4月 26日 (金)

「消滅危機」から躍進の国民民主 独自路線の先に何を見る?玉木雄一郎代表に聞く【インタビュー】

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第53条の改正が「与野党納得しやすい」

   ―― 最後に憲法改正についてうかがいます。野党の中でも憲法改正に関する考え方は分かれています。与党含めて「改憲派」と言われる勢力でも、改正すべきだとする部分は様々です。国民民主党としては、どの部分を改正すべきだと考えますか。まずは憲法審査会を開くところからですか。

玉木: 今まで何をやってきたかというと、「開く、開かない」で大もめしてきたわけですよ。でも少なくとも、定例日(木曜日)に会議を開きましょうよ、と(思う)。何のために定例日があるのでしょうか。審査会を開いて、賛成の人は賛成の意見を、反対の人は反対の意見を言う。賛成の中でもいろいろな改正の項目が違うから、それをそれぞれに言って、国民の皆さんに何が論点か争点かを分かっていただくということが、これは立場の別を越えて、国会議員の果たすべき役割なんじゃないかなと私は思いますよ。

   ―― その上で、改正するとすればどこですか。

玉木: 私は第53条の改正をすると、与野党納得しやすいのかなと思っています。例の臨時国会に関する「内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。 いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない」という規定です。期限が入っていないので、「20日以内に開く」といった期限を入れるとか...。あるいは結婚の規定(第24条)で「両性の合意のみに基いて」と書いてあるところを、同性婚ということを、解釈ではなく明示的に認める意味でも「両者の合意」というふうに書けば、リベラルの方も納得してもらえると思いますからね。みんな「解釈改憲は駄目だ」と言うじゃないですか、いつも。そうであれば、文言通り解釈改憲が駄目だというなら「両性の合意」だったら異なる性の人しかできなくなるので同性婚は無理になってしまいます。「一応あんなのは解釈で読めるんだ」と言いますが、「解釈で読める範囲が広まっちゃいけないんじゃないの?」とも言うんだから、ちゃんと書けるなら書いてあった方がいいですよね。

   ―― 第53条について言えば、自民党が野党時代の12年に出した改憲草案には、「要求があった日から二十日以内に臨時国会が召集されなければならない」とありますね。あの草案は、受け入れがたい内容ですか。

玉木: 第53条だけに限って言えば、いいんじゃないでしょうか。

   ―― 「第53条に限れば」ですね。あの草案そのものは、なかなか受け入れられないですか。

玉木: ああ、無理です。

   ―― 緊急事態条項とか...。

玉木: 緊急事態条項だって、議論したらいいと思いますよ。9条も同じですが、規定がないこと自体がやはり問題で、今回(のコロナ禍)みたいにいたずらに私権制限しちゃうじゃないですか。

   ―― 法改正せずに根拠不明なまま多数の「お願い」をする、と...。

玉木: 私権を制限するのであれば、こういう条件を満たしましょう、例えば経済的な補償があるとか、あるいは「移動するのが駄目」と言ったときには働けなくなるから、リモートワークやオンライン教育の環境を整えるとか、経済社会環境を整えるといったことを、きちんと憲法上の義務として権力を行使する側にかけていくとか...。あるいは、一時的には行政権が強くなるので、立法府や裁判所に事前の承認を得たり事後的に報告したりするとか...。全体として三権で、チェックが働いてバランスが取れるようにすることが大事です。だから、緊急事態条項が危ないのではなく、緊急事態条項もないまま、何かあったら無限の行政権の権力行使が行われてしまうような状況に既になっていることが、やはり問題です。

   ―― 「お願い」が拡張してきましたからね。

玉木: ですから、(緊急事態条項の検討を)するのはいい、と。ただ、「ここまでですよ」とか「やった以上はこういう報告を国民の代表たる立法府にしなさい」とか、そういうことをきちんと、権力の特例的な行使に関する条件整備のようなことに関する議論をきちんとしておくことは、私は否定しません。とにかく議論をしっかりやったらいいのではないでしょうか。賛否はいろいろありますが。

   ―― やはり、「まずは議論の場を」といったところでしょうか。

玉木: そうですね。自民党みたいにやたらめったら権力を広げようとする改正でも駄目だし、何でもかんでも「一字一句変えちゃ駄目だ」というのでも駄目で、その権力をいかに統制するかという、建設的で前向きな議論を冷静にする文化を育んでいかなければならないと思います。

玉木雄一郎さん プロフィール
たまき・ゆういちろう 衆院議員、国民民主党代表。1969年香川県生まれ。東大法学部卒。93年旧大蔵省入省。2009年の衆院選で香川2区から初当選し、現在5期目。旧民進党幹事長代理、旧国民民主党共同代表を経て18年9月から同代表。20年9月に分党を経て新国民民主党設立、代表に就任。


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