2024年 4月 29日 (月)

「転職で給料増えた」過去最高を更新 ITエンジニアは転職者の4割が年収アップに成功

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   転職したら前職より給料が1割以上も増えた――。そう回答した転職者の割合が過去最高になったという調査結果が出た。

   コロナ禍によるリストラなどで少なくなっていた「年収アップ転職」のチャンスが、人手不足の中で回復していることをうかがわせる。「お金による人材の奪い合い」は、今後増えていくのかもしれない。

  • 転職で収入アップだ
    転職で収入アップだ
  • 「2023年7-9月期 転職時の賃金変動状況」(リクルート調べ)より全体数値
    「2023年7-9月期 転職時の賃金変動状況」(リクルート調べ)より全体数値
  • 「2023年7-9月期 転職時の賃金変動状況」(リクルート調べ)より機械・電気・化学エンジニア
    「2023年7-9月期 転職時の賃金変動状況」(リクルート調べ)より機械・電気・化学エンジニア
  • 転職で収入アップだ
  • 「2023年7-9月期 転職時の賃金変動状況」(リクルート調べ)より全体数値
  • 「2023年7-9月期 転職時の賃金変動状況」(リクルート調べ)より機械・電気・化学エンジニア

伸びの傾向は業種により違い

   この結果は、転職支援サービス「リクルートエージェント」が調査した2023年7月~9月の「転職時の賃金変動状況」によるもの(結果は11月2日発表)。前職と比べ賃金が明確に(1割以上)増加した転職者数の割合は、全体で35.3%と過去最高を更新した。

   この数字はリーマンショックの2009年度には18.9%にまで落ち込んでいたが、2018年度には30.1%にまで増加。コロナ禍の2020年度にはふたたび20%台に落ち込んでいた。背景には休業リストラによる人余りがあったかもしれない。

   これが2021年7月~9月になると、30.5%とコロナ前の水準に回復。その後の2年間でも急速な右肩上がりを続けており、今後も過去最高を更新しそうな勢いだが、伸びの傾向は業種によってやや異なっている。

   最も割合が高い職種は「ITエンジニア」の39.9%で、転職者10人に4人は「給料が1割以上増えた」と答えている。ただし2023年の1月~3月および同年4月~6月は40.3%であり、微減か横ばいといったところだ。

   調査元によると、「賃金変動」の計算に使われる前職の賃金は時間外労働等の「変動する割増賃金」を含むが、転職後の賃金にはそれらが含まれないため、「1割以上増えた」回答者は実態より低めの値となる傾向があるという。

   特にITエンジニアの場合は時間外労働が多い傾向にあり、転職で給料アップした人がさらに多い可能性がある。

   次に割合が高かった職種は「接客・販売・店長・コールセンター」の39.4%。いわゆるオペレーション職だ。すでに深刻な人手不足の解消が見込めない職場では、コールセンターでチャットボットを使ったり、一部のファミリーレストランで配膳ロボットを導入するなどの工夫を行っている。

「メーカーのエンジニアがデジタルスキルをつけると強い」

   一方、営業職(33.9%)、事務系専門職(33.2%)、機械・電気・化学エンジニア(31.8%)は、いずれも全体の割合(35.3%)を下回った。

   営業職は2023年4月~6月の35.2%から減少、事務系専門職は2023年1月~3月に並ぶ過去最高タイで横ばい傾向。機械・電気・化学エンジニアは2020年度の22.3%から一貫して右肩上がりを続けている。

   メーカーのエンジニアの転職事情について、人材採用支援会社で働くAさんは、雇用流動性は今後更に高まる可能性があるという。これまでメーカーは年功序列志向が高く、中途採用にも消極的だったが、この状況は変わらざるを得ないというのだ。

「現在はどのメーカーでも、いままでのやり方では会社が立ち行かなくなっていて、"事業ポートフォリオの変革"が戦略課題になっています。これを推進するため、デジタル技術を活用した変革(DX)によって、"生産性の向上"や"新規事業の開発"をリードできる人を求めています」

   DX人材には「現場の業務を理解する力」と「デジタルリテラシー」の両方が必要だ。そのため、各社は社内でデジタル研修を行っているが、基礎知識の底上げはできても横並びの組織文化は変えられず、プロジェクトをリードする人を育成することは難しいという。

「そこで外部から、異業種を含む人材の中途採用を試みているのですが、コンサルティング会社の出身者は給与の要求水準も組織カルチャーも合わないので、定着率が悪い。その点、現場の事情を理解して粘り強く対処してくれる、デジタルの分かるエンジニア出身者は、歓迎される傾向にあります」

   いまメーカーのエンジニアが転職するなら、メーカー経験だけを売り物にするのではなく、まずは「ITパスポート試験」からでもいいので、デジタル関係の資格を自分で取るなどして、新しいスキルを身に着けてアピールするとよいという。

「将来性のあるメーカーで、DXに取り組まない会社はありません。DXを推進するプロジェクトにうまく転職できれば、将来的にも給料があがっていくポジションを掴める可能性が高まると思いますよ」
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