「消費者庁の法解釈はしっかり受け止めなければならない」「これまで述べさせていただいた通り」――。
2025年5月8日の兵庫県知事の定例記者会見で、斎藤元彦知事はこの文言を繰り返し述べた。消費者庁が斎藤知事の発言に対し、「国の公式見解とは異なる」とメールで指摘していたことが明らかとなり、記者から質問が集中した。
国がメールで「法の趣旨の理解」と「適切な対応」を求めるが
斎藤知事は3月26日の会見で、公益通報者保護法の体制整備義務の法解釈を巡り、「3号通報(外部通報)も含まれるという考え方がある一方で、内部通報に限定されるという考え方もある」と発言。これは、県の第三者委員会の報告書を受け開いた会見で、第三者委は告発文書が公益通報者保護法の外部通報にあたると判断していた。
神戸新聞によると、この会見を受けて4月8日、同法を所管する消費者庁が兵庫県に「国の公式見解とは異なる」と伝えた。メールには、体制整備義務の対象に外部への通報が含まれるとした上で、知事や関係部署に法の趣旨の理解と適切な対応を求めるものだったという。
また、4月23日の定例記者会見では、伊東良孝消費者担当相が国会答弁で第三者委員会の見解を肯定したことに対して、斎藤知事は「指摘は真摯に受け止めますけれども、考え方についての違いがあった」と述べ、文書問題は「考え方の違い」であるとの見方を強調していた。