報道における「外国人」の扱い方
では、なぜ交通事故をはじめ、外国人の犯罪が目を引くように感じるのか。
以下に、日本人が不起訴となった場合の、メディア報道の一例を挙げてみよう。
《都内に住む高齢女性から現金350万円をだまし取ったとして逮捕された21歳の男性が不起訴処分となりました。(中略)さいたま地検熊谷支部は不起訴処分の理由を明らかにしていません》(日テレNEWS WEB、2025年6月10日)
日本人の場合「日本人男性」とは報道されないのである。移民についての研究で知られる東京大学准教授・永吉希久子氏は、以下のように記している。
《日本国籍をもつ人が大多数の社会で、「日本国籍」という情報は自明のものとされる。マイノリティである外国籍者についてはそうではない。この結果として「外国籍」と「窃盗団」が合わせて記載されることで、犯罪行為者としての外国人イメージが強められるのである》永吉希久子『移民と日本社会 データで読み解く実態と将来像』(中公新書)
国籍に関する記述の有無の慣例が、報道を受け取る側に対して、無意識のうちに「外国人の犯罪が目立つ」といった印象を与えている可能性も考えられる。