2070年の日本の総人口は外国人が1割に
歴代の政府は、「移民政策」という言葉を避けてきた経緯がある。岸田文雄首相(当時)は2024年5月の参院本会議でこう答弁した。
「政府として、一定規模の外国人やその家族を、期限を設けることなく受け入れることで国家を維持する、いわゆる移民政策を取る考えはない」。
これより10年前の「骨太の方針2014」では、「外国人材の活用は、移民政策ではない」と強弁していた。
「移民政策」を避けてきた理由を、鈴木江理子・国士舘大教授は、こう推測する。「政府が、移民ではなく『外国人材』という言葉にこだわるのは、欧米諸国が直面している移民問題とは無縁だと、人びとの警戒心や不安を払拭する意図がある」(日経新聞。24年8月8日)。鈴木教授はさらに語る。「家族帯同が可能で、永住や国籍取得への道が開かれている定住型の外国人を移民ととらえれば、日本で暮らす外国人の8割が移民だ。日本生まれの2世や3世も増えている」。直近の将来推計人口(23年4月)によれば、2070年の日本の総人口は8700万人で、外国人が1割を占める、とされる。