バラエティートークの影に隠れた加害構造
ただ、非行が「やんちゃ」という言葉にスライドすることで、言葉自体が加害性を和らげるレトリックとして機能しやすくなる問題がある。
過去の失敗を暴露するトークが「失敗を語れる強さ」「人間臭さ」といった称賛を生む一方で、その過程で被害者の存在や加害構造が抜け落ちていることも多い。
それが露呈した顕著な例が、2005年に放送されたバラエティー番組『カミングダウト』におけるエピソードだ。
当時未成年の女性タレントが、かつてある店舗の倉庫に集団で入り込み、大量の商品を窃盗することを繰り返し、店舗をつぶしていたと笑い話として語ったのである。
これが事実であれば、完全な犯罪行為であり、多大なダメージを受けた被害者がいるということになる。
結局、女性タレントは事務所を通じて「フィクションを交えた誇張した話」だったと謝罪し、活動を自粛する結果となった。