「ヤンキーを看板にして仕事にする芸能人も最低」
近年のテレビでは、こうした「やんちゃ」語りに対する変化が見られている。
闇営業やオンラインカジノ、ハラスメントといった問題が噴出し、テレビ業界がコンプライアンスを重視する傾向が強まっていることも大きいが、最大の要因は視聴者の感覚が変化したことだろう。
たとえば、2022年に放送された『しゃべくり007』で、アンガールズの田中卓志さんが「ヤンキー、本当意味わかんない。腹立つでしょ? 暴れまくって」「ヤンキーを看板にして仕事にする芸能人も最低だと思います」「自分から(やんちゃをしていたと)発さなければいいんですよ!(中略/ヤンキーだったと言われたら)『いや?すいませんでした』。これ正解、これしかないんすよ!」と言い放ち、話題となった。
放送後、SNSなどで「正論過ぎる」「わかりみしかない」といった同調のコメントが多く見られた。これは、過去の非行を武勇伝として披露することへの嫌悪感の現れといってよい。
実際、不良少年だったというエピソードがある「かまいたち」の濱家隆一さんは、自らそうした逸話を出すことはない。東京へ進出し、いじられキャラが定着して人気者となり、MCで八面六臂の活躍をするようになってからは、なおさらである。
「やんちゃ」語りは、もはや時代遅れなのである。
参考文献:五十嵐太郎・編著『ヤンキー文化論序説』(河出書房新社)/難波功士『ヤンキー進化論』(光文社新書)