Z世代は酔うためだけでなく楽しむために飲む
このような経営戦略が狙う客層はコスパに敏感なZ世代である。
全国大学生活協同組合連合会が2024年10~11月に1万1590人の大学生から回答を得た調査によると、64.3%が「外食費を含む食費」を節約したいと考えている。Z世代は酔うためだけでなく、楽しむために飲む。低アルコールやノンアルコール、「映える」ドリンクの需要にもそれが反映する。1杯55円のレモンサワーは節約志向だけでなく、何杯でも気軽に注文できるという「気楽さ」を提供している。
ちなみに、サラリーマンなど社会人の飲み代は「1か月平均6002円」ほどらしい。事業資金融資の「大黒屋」が20~50代の1000人から調査し、2024年9月に発表している。
居酒屋は、外国人観光客の視線も集める「日本の食文化」だ。時代の波にもまれ、浮沈をくりかえしてきた。「第4世代」も原材料費の高騰という逆風に直面する。価格競争の一過性のトレンドなのか、それとも食文化の担い手に育つのか。真価が問われるのはこれからだ。
(ジャーナリスト 橋本聡)