官邸周辺のデモは「部屋の中で話しをしておっても聞き難い位の、そういう響き」
懇談会の報告を踏まえて 8月14日、藤波氏が談話を出し、中曽根氏による公式参拝の方針を発表。この時の記者会見は16時1分から50分まで、実に49分間に及んだ。記者からの質問も、供花と(公金を宗教団体に支出できないことをうたった)憲法89条の関係、地方の護国神社に波及する可能性、記帳の有無、外国からの批判、戦犯の合祀、供花の値段、「玉串料」ではなく「供花」になった理由など、多岐にわたった。
書き起こしからは現場の混乱ぶりもうかがえる。当時は、防衛関係費を国民総生産(GNP)の1%の枠内に抑える閣議決定の撤廃が課題になっていた。この点を念頭に記者が
「1%問題、防衛費ですね。1%問題が残っている時に、公式参拝というのを結び付けて中曽根内閣の姿勢であると云うふうに批判している声が、今日官邸の回りに沢山いらっしゃるからわかると思うんですけれども、そういう意見を耳に届いておりましょうが、そうお取りになりますか」
と質問すると、藤波氏は次のように応じた。
「今日は一日、丁度私の部屋の横でにぎやかに、公式参拝せよという意見と、公式参拝するな反対だというご意見のスピーカーが非常に大きく響いて、一寸、官房長官の部屋の中で話しをしておっても聞き難い位の、そういう響きをもっておりますから、良く聞こえております」