「セミが鳴けば涼しい日」猛暑で話題、実際どうなの? 今後への影響に「セミの少子化」可能性チラつく

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セミ自体が少なかった?羽化失敗も多数か

   大野さん曰く、そもそもセミが鳴く条件は「日の長さ(光)」「気温」「天気」といった周囲の環境が関係しているようだという。

   「日の長さ(光)」に関しては、冬ごもりしていた虫が地中から出てくる「啓蟄(けいちつ)」を類似例に挙げながら、猛暑の夏でも冷夏でもセミの出現時期はだいたい同じだとして、繁殖期のある生き物には「日の長さ」が基本のリズムをもたらす、と説明した。

   加えて、セミの幼虫は土の中で育つため、「春から羽化までの間の温度の積み重ね」(有効積算温度)や、適正な雨量で土が柔らかくなったり、羽化直前に水分を取ったりすることも必要になるという。

   これらによって、セミの出現時期、そして種ごとにおおよその鳴く時間が決まる。そのなかでも「気温」が高すぎる、「天気」が悪いといった場合は鳴かなくなる、とのことだ。一方、大野さんが知る限りとした上で、気温や土中の温度は十分だったにもかかわらず「今年のセミは少なかったように思います」。特に都市部では少なかったとみている。

   考えられる要因は「羽化の時期」の気候だという。

   つまり、7月末~8月上旬の(1)雨の少なさ─「そろそろ羽化するぞ!というスイッチが入らなかった」「土中で幼虫が死んでいたという情報もあります」、(2)気温の高さ─「梅雨が明けたことに気づいて外に出てきたところで、エネルギー切れで死んでしまった」ことを指摘した。自身も、朝に羽化を始めたセミを見たといい、このあたりも例年との違いだ。

「羽化の失敗は時々あるのですが、今年は多かったように思います。梅雨が短く、羽化の時期になっても水分も少なく、気温が高かった、というのが遠因ではないかと考えています」「通常は夕方から深夜までには羽化が完了しているはずが、朝になってのそのそ幼虫が出ているのも何かがおかしかったのではないか」
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