BYDのEVが強力なライバルに
スズキは「フロンクス」「ジムニーノマド」をインドで生産し、日本に逆輸入。ホンダは「WR-V」をインドで生産し、日本で販売している。これまで日本メーカーがタイで日本車を生産し、日本に逆輸入するケースは「日産マーチ」「三菱ミラージュ」「ホンダアコード」などの前例があるが、近年はインドも日本車の重要な生産拠点となっている。
最新の貿易統計によると、日本が輸入する自動車の割合はドイツが首位で、インドが中国やタイを抑え、第2位に浮上している。当面、マヒンドラ&マヒンドラやタタなどのインド車を日本で見かけることはないだろうが、「インド製の日本車」は身近な存在になりつつある。
ただし、世界に目を向けると、日本メーカーも安泰ではいられない。中国のBYDはタイで生産したEVを欧州へ輸出すると発表した。欧州は2024年から中国製EVに追加関税をかけている。BYDはタイからの輸出でこれを回避する狙いのようだ。
このBYDのEVはスズキがインドで生産し、欧州で販売するeビターラの強力なライバルとなる。日本メーカーは、とりわけアジアや中東などの海外市場でBYDなどの中国メーカーとの競争が避けられない。日本の自動車メーカーにとってインドは重要な市場であり、生産拠点で、中国との世界競争上も鍵を握る貴重な存在であるのは間違いない。
(ジャーナリスト 岩城諒)