プロボクシングのスーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋、32)が、2025年9月14日に、名古屋でWBA同級暫定王者ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン、30)を相手に防衛戦を行う。井上は「KO宣言」を封印挑戦者のアフマダリエフは、元トップアマで16年リオデジャネイロ五輪銅メダリストだ。18年3月にプロに転向し、わずか8戦目でWBA・IBF世界スーパーバンタム級王者ダニエル・ローマン(米国、35)に挑戦し、判定で王座を獲得した。アフマダリエフは王者時代の23年4月に、挑戦者マーロン・タパレス(フィリピン、33)に判定で敗れているが、海外のボクシング専門メディアでの評価は高く、「最強の挑戦者」と評するメディアもある。実際、井上もアフマダリエフを警戒しており、スポーツ紙の報道によると、井上は「今回は判定決着でもいいかなと自分自身思っている」とし、「KO宣言」を封印したという。評判通りアフマダリエフは井上にとって「最強の挑戦者」となるのか。J-CASTニュースでは、数々の世界戦をプロモートしてきたTMKジムの金平桂一郎会長(59)にアフマダリエフの実力、試合の展望を占ってもらった。金平会長は「確率論でいえば、井上選手が負ける可能性は、多く見積もって20%くらいあるのではないかと思います」と切り出し、その理由をこう説明した。「ここ最近の井上選手の試合を予想したとき、負ける確率が10%未満とみるケースが多かったです。ルイス・ネリ選手にしても、ラモン・カルデナス選手の場合もそうでしたが、今回は2割くらいと考えています。なぜかといえば、アフマダリエフ選手が単純に穴のない選手だからです。ネリ選手みたいに、パンチ力、破壊力があっても粗いだけという選手でもない。まとまったレベルの高い選手だからです」「アフマダリエフ選手は、右リード、右フックをうまく操れるかどうか」井上はここ4戦で2度のダウンを喫している。井上がプロで初めてダウンを喫したのは、24年5月のルイス・ネリ(メキシコ)との一戦だ。ネリはサウスポーで、初回に左フックで井上からダウンを奪った。直近5月の試合では、ラモン・カルデナス(米国)からダウンを喫している。カルデナスは右構えだが、左構えにスイッチしたような形で、左フックでダウンを奪った。サウスポーのアフマダリエフは、左フックを得意としており、井上陣営は警戒を深めている。このような状況の中、金平会長は「カギを握るのはアフマダリエフ選手の右だと思います」とし、その理由に言及した。「アフマダリエフ選手は、右リード、右フックをうまく操れるかどうか。アフマダリエフ選手の左は、大橋ジム陣営はきっちり対策をしていると思います。あまりに左ばかりを頭に入れていると、右フックが怖い。(マーロン)タパレス戦までさかのぼると、井上選手がいい右フックを結構もらっているのが気になります」そして、アフマダリエフが井上に勝つパターンとして、次のような展開を予想した。「アフマダリエフ選手が勝つとしたら中盤までのKO。中盤から終盤になると、どんどん井上選手のペースになっていく。前半の入りが大事。ネリ選手も、カルデナス選手もそうでした。中盤まで突破口が見出せなければ厳しい。もっと言えば、前半の4回まで。ここまでに何かが起きなかったら話にならない。井上選手がどこかで捕まえるでしょう。いくらアフマダリエフ選手が頑丈といっても、井上選手にかかれば、どこかで試合が終わってしまう」井上はプロデビュー以来、30戦全勝(27KO)と、ほぼ完ぺきなレコードを誇る。一方のアフマダリエフのプロ戦績は、14勝(11KO)1敗。
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