必要とされる仕組みは何か?
とはいえ、クマの出没が年々増加する中で、柔軟な考え方が必要となっているのではないだろうか。
たとえば、近年長野県小諸市や北海道占冠村などで見られる、公務員としての鳥獣専門員、つまりガバメントハンターの設置を広めることもひとつの方法だろう。
彼らと警察・消防・獣医師らを含む「行政直轄の緊急対応チーム」を設けることで、災害対応と同じ枠組みで迅速な行動が可能となる。
加えて、捕獲時の事故や損害に備えた全国統一の保険制度を導入し、大学や専門学校と連携した若手育成プログラムを整えることで、人材不足に備えることができる。
また、ドローンなどの最新技術を積極的に導入しクマの出没を監視することも、住民の安全を守るひとつの打開策となるかもしれない。
ただし、いずれにしても各自治体の予算ではこういった施策をとるには限界がある。国として、場当たり的な法改正ではなく、もっと現場に即した制度改革が必要だ。
今回の無許可駆除は、現行法の限界と現場の苦悩を映し出した象徴的な出来事である。人々の命を守るためにも、現場が安心して行動できる環境を整えることが求められている。