日本型「クマ対策」モデルの構築を
このように、国も自治体も「被害発生後」から「予防」へと対策の重点を移しつつあるが、実効性のある体制が確立されたとは言い難い。
クマ被害の予防策を制度として確立している国のひとつにスウェーデンがある。
スウェーデンでは、ブラウンベア(ヒグマ)に対して許可制の年次狩猟制度を運用し、個体数の調整を行っている。
EUの「生息地指令(ハビタット指令)」などの保護規定を遵守しながら、個体数をモニタリングし、地域ごとに上限頭数を設けて狩猟を認める制度だ。
しかし2024年には、狩猟によって捕獲された頭数が国内の推定生息数の約20%に達し、生態系への影響を懸念する声も上がっている。
このように、海外でもクマの保護と管理のバランスをめぐる議論は続いている。日本もこうした海外の事例を参考にしつつ、地域特性を踏まえた「日本型クマ対策モデル」の構築を急ぐべきだろう。