アメリカのアマゾン・ドット・コムは現地時間2025年10月28日朝、1万4000人の従業員削減を発表した。これは人工知能(AI)で業務の自動化を行い、経営の合理化を図ることが目的だという。
「AIによって人間の仕事が奪われる」流れが本格化しているのではないか、という懸念が起こっている。
エントリーレベルの労働者雇用が激減する社会
スタンフォード大学が8月26日に発表した論文によれば、アメリカではプログラミング職などのソフトウエア開発、カスタマーサポートといったAIが補助する作業が多い職種において、22~25歳の新人、および最初の仕事に着いた人といった、エントリーレベルの労働者雇用が直近3年で約13%減少したという調査結果が出ている。
また『World Economic Forum』(2025年4月30日)は、「調査・市場分析・資料作成」といったホワイトカラーのエントリーレベルの社員は、AIやロボティクスの導入で代替率が50%以上に達する可能性を示唆している。
加えてアメリカ『フォーブス』誌(2025年8月12日)は「新人を一から育てるより、即戦力を少数採用する」方針に転換する動きがあり、結果として"新人枠"が縮小していると指摘。定型的な反復作業をAIに置き換える方向が強まっているとし、60%以上の経営層が「AIをエントリーレベルの作業に使う予定」(LinkedIn調査)と報じた。
こうした風潮を、同じくアメリカの『Harvard Business Review』(2025年9月16日)は次のように批判している。
「エントリーレベルの社員をAIで削るのは短視的だ。これらの役割は将来のリーダーを育て、組織文化を豊かにするものである」