症状はウイルスそのものより身体の炎症反応で起きる
症状の重さはウイルスの強さだけでなく、身体の炎症反応によっても左右される。
発熱や倦怠感は、身体がウイルスを排除しようとする際に起こす生理的な反応だ。
この炎症反応が控えめな人は、感染しても軽く済んだり、無症候(明らかな症状がない)のまま終わる場合もある。
つまり「発症しなかった=ウイルスに勝った」というより、「症状として表れにくかった」可能性が高い。
インフルエンザへの反応は、その人がこれまでどんなウイルスに触れてきたかでも変わる。
幼少期に初めて感染した株や、ワクチンで得た免疫の性質によって、成長後の反応が異なることが知られている。
特に、鼻や喉で働くIgA抗体の量や質には個人差が大きい。
つまり、免疫には「記憶」があり、それが発症しやすさに影響を与えることになる。
さらに、遺伝的な要素も無視できない。
たとえば、IFITM3などの抗ウイルス遺伝子には働きの差があり、特定の型は重症化リスクを高めることが報告されている。
ただしこれは「絶対的に強い/弱い体質」という話ではなく、あくまで統計的にリスクがやや異なる傾向を示すものだ。