キャッシュレス決済を導入しない理由
現金払いのみとしている理由は複数ある。まずは決済手数料がかかる点だ。「私が調べた限りでは3%から5%かかります。入館料が500円なので、1人あたり15円から25円ほどが確実に減ってしまう」と担当者は説明する。
また、キャッシュレス決済によって博物館に来館者が増えるわけでもないとも指摘。さらに現金支払いと併用することで、スタッフの手間も増える。「来館者からすれば楽になるのは分かりますが、実際に運営していく上では負担になってしまいます」
博物館は市営で、市営施設としての課題もある。
「市の予算は歳入と歳出に分かれ、それぞれに科目が設定されている。決済代行業者への手数料をどの科目に入れるのか、どれだけ予算を見積もればいいのか。もらったものから引けばいいという話ではなく、市が外部に払い込むのであれば、それを予算化した上で使っていくというのが自治体の支出のやり方なんです」
担当者は、「キャッシュレス決済の導入は絶対にできないわけではないが、解決すべき課題がたくさんあって、1つ1つ解決していくような余裕もない」と話した。
同館は11日、「当館の入館料(高校生以上)につきましては、現金のみの対応となっております。また、高齢者割引やJAF割引等はございません。トラブル防止の為にも、その旨ご承知いただき、ご入館いただきますようよろしくお願いいたします」と公式サイトでも呼びかけている。