2025年も終わりに近づいた。年末年始は、日常とは異なる時間が流れる。年が明けてからしたいこと......神社への初詣も、そのひとつだろう。
しかし、新しい年を迎える穏やかな雰囲気の中で、思いがけないトラブルに遭遇したケースもある。今から10年ほど前の出来事として、田村公輔さん(仮名・30代)は、例年通り朝早く家を出て、地元の神社へ向かったという。
「人、人、人」それでも保たれていた新年の秩序
鳥居をくぐった瞬間、田村さんの目に飛び込んできたのは、想像以上の混雑だった。参道から拝殿前、お守りやお札の授与所、おみくじ所まで、どこを見渡しても人で埋め尽くされていた。
「正直、『これは覚悟がいるな』と思いました。一歩進むにも周囲に気を遣わなきゃいけない感じでした」
それでも、不思議と場の空気は荒れていなかった。
「新年早々、イヤな気分になりたくなりという意識が、みんなにあったんだと思います。『どうぞ』『すみません』って自然に声を掛け合っていましたし、小さな子どもを抱えた人がいれば、道を譲る光景もありました」
混雑の中にも、「新年らしい秩序」が保たれていたそうだ。