「抑止力」期待される面もある一方...多くの問題点が
栗本氏は、暴露系インフルエンサーによる動画などの拡散には、「『密室性』の打破」と「迅速な実害の付与」の効果があると指摘した。
いじめは学校内など閉鎖的な空間で行われるため、隠蔽されがちだが、SNSでの拡散により社会の監視の目にさらされる。また、法的処置には時間がかかる一方で、ネット上での『社会的制裁』には即効性がある。
栗本氏は、「『いじめをしたら人生が終わる』という恐怖が、一時的なブレーキになる可能性は否定できません」とした。
一方で、暴露系インフルエンサーによる動画などの拡散という「私刑」による解決には問題点も多数あるとし、栗本氏は次の8つの点を指摘した。
「1、誤情報の拡散と冤罪:徹底的な事実確認が行われないまま拡散されることが多く、無関係な人が加害者として晒されるリスクがあります。
2、正義のエンタメ化:投稿者の目的が被害者の救済ではなく、再生数やフォロワー稼ぎ(収益)である場合、問題が過激に演出され、解決よりも『炎上』が優先されます。
3、二次被害の発生:動画が拡散されることで、被害者のプライバシーも守られなくなり、一生消えないデジタルタトゥーとして被害者を苦しめ続けることになりかねません。
4、教育現場の萎縮と陰湿化:晒されることを恐れた加害者が、カメラに映らない場所でより巧妙にいじめを行うようになるなど、問題が潜伏化する恐れがあります。
5、威力業務妨害:いじめが起きたとされる学校や加害者の親の職場に、視聴者が大量の電凸(抗議電話)を行い、本来の業務を麻痺させた場合。
6、強要罪・脅迫罪:インフルエンサーが加害者側に対し、『謝罪動画を撮らせる』『金銭を要求する』などの行為に及んだ場合。
7、誤特定による『冤罪(えんざい)』事件:煽り運転事件やいじめ事件の際、無関係な女性や店が「加害者の関係先」として拡散され、誹謗中傷が殺到。結果として拡散した側が数百万円単位の損害賠償を命じられる事件が起きています。
8、行き過ぎた制裁:ターゲットにされた人物(またはその家族)が精神的に追い詰められ、自死を選んでしまうという最悪の結果を招いたこともあります。この場合、インフルエンサー側が『教唆(きょうさ)』『追い込み』として法的な責任を問われるリスクが生じます」