外部からの侵入検知設備の故障にも気づかない管理のお粗末さ
2011年3月の福島第一原発事故を受け、同社の運営責任が厳しく問われるなか、柏崎刈羽原発も2012年までに全7基が停止し、14年にわたる長い沈黙へと入った。
この間、安全対策の強化が叫ばれていたにもかかわらず発生したのは、原子力事業者としての資質を根本から疑わせる、テロ対策の深刻な不備であった。
2020年に社員が他人のIDカードを無断で持ち出し、中央制御室へ不正に入域する事件が発生した。
警備員は顔写真の違和感を覚え、生体認証でエラーが出たにもかかわらず、自身の裁量で認証情報を上書き登録して通過させたという。
加えて、2020年3月以降、敷地内の侵入検知設備が計15か所で故障し、そのうち10か所が30日以上にわたり機能不全となっていたことがわかった。
その異常事態を、東電は警察や原子力規制庁に指摘されるまで、自ら検知できなかったというのである。
あまりにお粗末な状況を受け、2021年4月、原子力規制委員会は同原発に対し、組織的な管理機能の低下を指摘、「核物質防護上、重大な事態になり得る状況」であるとして、核燃料の移動禁止命令を出した。
原子力規制委員会による命令が解除されたのは、2023年末のことだった。
新潟県などの政治判断により再稼働の議論が進められたが、避難計画の実効性や東電への信頼に対する住民の不安は解消されないまま、プロセスのみが加速されることとなった。